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今回は、書籍「なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか」を基に、組織変革を成功させる方法について紹介します。
この本は、ハーバード大学教授のロバート・キーガンとリサ・ラスコウ・レイヒーハによる組織論であり、以前紹介した書籍「なぜ人と組織は変われないか」の続編でもあります。前作では、社員一人ひとりの精神的な改革に長期的視点で取り組むことが組織変革には必要だと説明していましたが、この本では「組織変革を阻害する要因」について、述べられています。
組織変革を成功させるために排除すべきことについて、この本を基に解説していきましょう。
現代社会は「ビジネスを変革していこう」と「人間らしく自分らしく働こう」という2つの矛盾したテーマの間で、大きく揺さぶられています。現代の企業にとって変革の本質というのは、この2つのテーマを高水準で統合した職場環境をつくり出すことです。
そして、この本質をついた変革が実現できる組織というのは「自分の弱さを隠さない組織」だと、この本では述べられています。
ここでいう「弱さ」の定義とは、以下の5つが挙げられます。
1 自分を優秀に見せようと駆け引きしてしまう
2 他人の印象を操作してしまう
3 欠点を隠してしまう
4 不安を隠してしまう
5 自分の限界を隠してしまう
社員が自分の弱さを隠すことに時間とエネルギーを割いていると、組織は停滞します。しかし弱さを隠すことは時間の無駄であるにもかかわらず、ほとんどの人はここに労力を使ってしまうのです。
書籍では、弱さをさらけ出して成長する組織のことを発達指向型の組織(DDO=Deliberately Developmental Organization)と呼びます。
この発達指向型の組織を作るために経営者がすべきことは、チャレンジと失敗には寛容であり、チャレンジしないことには厳しい社風をつくることです。
ちなみに、ここでいう発達型組織の「発達」とは、キャリアの発展を指すのではなく「人間の発達」を指します。発達の過程には3つのステップがあります。
ステップ1 環境適応型
一般的な企業では、この環境適用型が多いとされています。空気を読み周りに合わせる、優秀な人が入ると萎縮していつか自分が蹴落とされるのでは、という不安をもつなどありますが、基本的には優秀で忠実な部下です。
これが一段階発達すると「自己主張型」になります。
ステップ2 自己主張型
自己主張型は、自分に対して目標をもち、達成までの道筋を逆算して考えられるタイプです。あくまでも戦う相手は昨日の自分なので、周りの人間のことはあまり気になりません。このタイプが自己目標の実現以外に、周りや組織の成功も目指せるようになると、自己変容型になります。
ステップ3 自己変容型
最終ステップの自己変容型は、他者とコミュニケーションをとるときに、自分の目標が達成できるかを考えつつ、会社の成長にもコミットできます。会社の成長に全員がコミットできると、お互いに弱さをカバーしあいながら目標に向けて動き出せます。ここまで到達できて、やっと発達指向型組織の完成です。
ブレインマークスも、徐々に発達指向型組織になりつつあります。しかし、新しい人が入るとどうしてもバランスを崩しがちです。発達指向型組織の最大の阻害要因は「過去にもっていた価値観」です。
自分の弱さを隠して誰かに蹴落とされないようにしよう、という「周りと戦う価値観」や「強固な固定概念」を持っていると、発達指向型の組織にはなじめません。
そのため、ブレインマークスでの採用時は、周りと戦ってくるような人を雇わないようにしています。阻害要因をどれだけ減らせるかが、組織変革を成功させる鍵なのです
「弱さを見せあえる組織」を目標にすると、経営者だけでなく働く人も前向きで健全に仕事に向き合う環境が作れます。
会社の問題の7割は、組織と人間関係です。組織の変革を含め、ここに真剣に向き合うと会社は今より成長できるはずですよ。