知らぬ間にオーナーズトラップに陥っていませんか? | 中小企業の経営コンサルティングならブレインマークス
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2021.03.10

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知らぬ間にオーナーズトラップに陥っていませんか?

株式会社ブレインマークス

今回のテーマは「知らぬ間にオーナーズトラップに陥っていませんか?」についてです。

中小企業の社長は、知らない間にオーナーズトラップに陥っている方が多く見られます。
多くの中小企業の経営課題でもありますが、コンサルタント会社である弊社のお客様も

・社員の自主性がなかなか育たず、モチベーションが低い
・業績に真剣なのは社長ばかりで、社員は他人事になっている

といった悩みを実際に抱えています。こういったケースが散見する多くの会社の社長は、オーナーズトラップにかかっています。

【オーナーズトラップとは】
特に、社員30名以下の中小企業の経営者がはまる罠。
社長が、朝から晩まで頑張っても社員がついて来ず、社員が育たないという状況が生まれる。その結果、社員の離職が増えたり、社長の限界が事業の限界になってしまう状況のこと。

■10年間の「オーナーズトラップ」でわかったこと

私自身、オーナーズトラップをかなり長い間経験してきました。31歳で起業し、20年目を迎えましたが、最初の10年間はずっとオーナーズトラップに陥っていました。

創業当時は、とにかく朝から晩まで働き、従業員も着々と増えて、売り上げも上がっていきました。しかし、7、8年ぐらいした頃、業績は良かったのですが、社長である私が朝から晩まで頑張っても、何故か社員が育たないという状況になっていたんです。

社員が立て続けに辞めてしまったり、揉め事があったり、社員が私に対する不満を言っていたり。気づいた頃には、社員が一体感をもっている中小企業という理想像とは全くかけ離れた会社が出来上がってしまいました。

しかし、どうすればこの状態から抜け出せるかわからず、お客様の要望に応えながら、社内トラブルの火消しをする日々。

起業して10年経った頃には、社員のボイコットや取引先とのトラブルもあり、従業員のほとんどが一斉に辞めてしまったのです。オフィスでパソコンがズラッと並んでいるのを見ながら、何のためにこの10年間やってきたのかと思いました。

社内でのトラブルが起きても、社長が立て直さなくてはいけないし、現場での仕事で朝から晩まで働くため、状況が変わらない。

従業員を何とかしなければならない、お客様に対して義理を果たさなければならない。だから、自分が働くか働かないかの2択になっていました。働いて事業を維持するのか、もしくは働かないで縮小するのか、廃業するのかという選択は、選択肢のない経営ということ。

オーナーズトラップに入った瞬間に、皆さんは選択肢のない経営を強いられます。

職人社長を選択し、社長が働き続ける状況を繰り返しているのが、オーナーズトラップにかかっている経営者の特徴だと言えます。

■混乱の時代に中⼩企業を取り巻く4つの環境変化

今、実際に中小企業を取り巻く環境は、非常に厳しくなっています。

それをまさに示すように、倒産、廃業はどんどん増えています。例えば2019年で休廃業解散が年間4万3千件にもなります。今後は更に増えると予想されています。

時代全体の変化から見て、4つの環境変化があります。

・人材の採用難やメンタルヘルス問題などによる時代変化
・人口の減少や顧客ニーズの多様化などによるマーケットの変化
・競争の激化、収益性の低下などによる競合の変化
・労働人口の減少や後継者不足などによる社会背景の変化

現代の流れの中で私たち、中小企業の経営は、どんどん複雑で高度化しているのが現状です。世の中が右肩上がりの時の経営は、もっとシンプルだったと思います。

とにかく頑張れば会社は成長できる、今はそういう状況ではなくなりました。

例えば、廃業し、シャッターを閉めて貼り紙を貼って街の写真屋さん。
こういった写真の業界ほど時代の変化に翻弄された業界はありません。フィルムの現像が中心だったものがデジカメになって、デジカメも高度化し、スマホで写真が撮れるようになった今、写真屋さんの存在が徐々にしかも着実に衰えていったという状況があります。

実は、この出来事は人事ではありません。今回のようなコロナウイルスによる急激な変化も怖いですが、この緩やかな変化対応を抜かりなくやっていかなければ、廃業と隣り合わせにあるということです。

アメリカで有名なコンサルタントであるガーバー曰く、ほとんどの中小企業の経営者はスタート時点で失敗している、と言います。何故でしょうか。

それは、事業の中心となる能力があれば、事業が成功できると考えていることが多いからです。

髪がうまく切れたら美容師になれる、というように、自分が目の前の作業のプロフェッショナルであれば、事業を拡大できるという考え方が先行しているからです。実は、これ自体が根本的な間違いなのです。

何故かというと会社での事業というのは、成長のプロセスがあるからです。

■会社成長のプロセスから見えた「3つの壁」

会社には、3つの成長期があります。

私も最初は、一人で始めた事業でしたが、社員を増やしていくごとにオーナーズトラップに陥っていきました。オーナーズトラップに陥らないために、まずは、その成長に伴い出てくる壁を一つひとつ乗り超える必要があると考えています。

まず、会社を立ち上げたばかりで“社長=事業”となる“幼年期”です。

社長の目の届く範囲で業務をすることができるため、社長が頑張れば業績が伸びる時期でもあるということです。社長が職人であっても、何とかやっていける時だと言えます。

次に、社員を雇うようになり、組織ができてくる“青年期”です。ここでは、雇う社員の数がどんどん増え、社長の目が届かない範囲が出てきてしまいます。

例えば、美容師であれば、自分が髪の毛を切ってお客様を喜ばせても、1日6、7人。30日働いても、420人が限界なわけです。これ以上の数字を目指そうと思えば、自分以外の誰かがあなたと同じように、髪の毛を切ってお客様を喜ばせていかなければなりません。

自分以外の誰かが活躍できる組織をつくる、というマネジメントの技術が求められるようになってくるのが青年期です。ここで、社長というのは、一歩一歩考え方を変えたり、会得する技術を変えていかなければなりません。

いつまでも、髪を切る技術を追求し続けていくと、気付いた時には、後継者はいなくなります。自分と同じように技術を承継した人がいない、人が育たない、人が辞めていく。先ほど言ったように、“社長=事業”のままでは、倒産、廃業につながってくる時期とも言えます。

最後が、社長が不在でも成長するシステムができている“成熟期”です。

社長がマネジメントの視点、つまり起業家の視点をもつことで社長がいなくても、通常通り経営ができる時期に入ってきます。

しかし、多くの場合、この成熟期に行こうとして青年期に戻り、青年期から幼少期に戻ることを延々繰り返しながら、気力と体力の衰えとともにふわっと廃業するという状況が生まれています。まさに、これが私たちでいう、オーナーズトラップの典型的な例です。

ガーバー曰く、オーナーズトラップ=職人の病気と言っています。社長が現場で働き続ける限り、会社は病気になってしまう。それは、社長にしかできない仕事が増え続けることで、“社長=事業”“社長の限界=事業の限界”という状況が生まれるからです。

社員が増えても、“社長=事業”を続けていると、指示待ち社員ばかりの組織になってしまいます。社長がいないと機能しない会社が出来上がるというのがオーナーズトラップであり、一度その状況になってしまうと、どうやって抜け出せばいいかわからなくなってしまいます。

この状況をしっかり見ながら、一つひとつ対処していかなければ、悩みを悶々と抱え、経営者は孤独だ、そんな状況が生まれてしまうと言えます。

■今日の結論

自分が頑張って会社が成長してきた、という成功体験から逃げられないと言うのが、オーナーズトラップに陥る一番大きなきっかけです。

社長が不在でも、事業を拡大できるようにするためには、社長が事業になっている段階を順を追って外していくことが大切です。

正直、経営者が現場から離れる=会社の戦闘力は一時的に落ちます。

しかし、根気や勇気、覚悟をもって、その落ち方を緩やかにしながら、ソフトランディングしていくということが大切です。経営者の皆さんであればこういった会社にしたいという描いた未来があると思います。そして、今もその未来に向かって走っていると思います。

もし、自由のない経営を強いられてる、オーナーズトラップにはまってる、というふうに思われていれば、今すぐにそこから抜け出すことを考えてみましょう。

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