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今回のテーマは「1on1ミーティングで社員の自主性を生み出す方法」についてです。
1on1ミーティングについては、クライアントさんから、うまくて活用する方法、やコツを知りたいと相談を受けることがあります。
1on1ミーティングは、何のためにやるのか、そして正しい活用方法を理解することで効果を発揮します。
本屋に行くと、1on1ミーティングのついての本をたくさん目にします。例えば、大手企業のyahooであれば、1on1ミーティングはライトな面談を週一回、実施して、社員の息抜きをすると書かれています。
しかし、私が1on1ミーティングを、これまで実施してきた経験からすると、中小企業の場合もう少し使い方を工夫した方が、うまくいくでしょう。
1on1ミーティングとは、上司と部下が1対1で、定期的に行なうミーティングのことです。
ミーティングでは、社員が自分で設定した目標を達成するために、現在の課題や悩みを聞き出すことで、目標達成のサポートをします。つまり、目標達成のPDCAを担う機能になります。
しかし、正しく1on1ミーティングを行なえば、効果が出るのに、勝手に自分流で面談をしてしまう人も多くいます。また、1on1ミーティングなのに2対1でミーティングを行なっていたり、間違った方法でやっている人がいます。2対1でのミーティングなんてやっても、当然社員は怖いですね。言いたいことも言えなくなってしまいます。
その結果、1on1ミーティングをやっても効果は出ないし目的自体がわからなくなってしまいます。
なぜ、今1on1ミーティングが求められているのか。1on1ミーティングが求められている理由には、3つの背景があります。
1つ目は、プレイングマネジャーの増加です。とにかく成果を上げるために、管理だけやっていてはダメだという時代の流れにより、プレイングマネジャーが増加し、部下のことをしっかり見る時間が取れない問題が発生しています。
2つ目は、若手の社員が飲みに行かないから、飲みミニケーションができず、仕事以外でのコミュニケーションの場が減っていることです。
そして3つ目が、世代間ギャップです。昔とは違って、今は電話以外にも、メールやSNSな通信手段があるため、上司と部下がうまくコミュニケーションを取れないといったことです。例えば、上司が電話をしても、最近の若い人は電話が嫌いで出なかったりしますよね。
こういった中で、どうすれば効果的にコミュニケーションを取りながら、生産性を上げていけるかと考えた時、1つの解決策として1on1ミーティングが注目されているのです。
私が初めて1on1ミーティングを知ったのは、アメリカのコンサルティング会社に視察に行った時でした。コンサルティング会社の経営者が、私にこう言いました。
「従業員の皆さんと、しっかりとコミュニケーションを取りながらマネジメントをする必要がある。コミュニケーションを取るためには、月1で1回1時間ぐらいの、ミーティングをする。」
私は正直、忙しい中、1人の社員に1時間も取られるなんて、これでは1ヶ月のうち、2日か3日は、ミーティングになってしまうじゃないかと少し抵抗がありました。
しかし、1on1ミーティングをやると決めた理由が2つあります。
まず、社員をコミュニケーションがきちんと取れていなかったことです。食事に誘おうと思っても、社員にはお酒を飲まない人が、多くなっていました。そして、若い社員に飲み行こうと誘って、変に誤解されてしまっては困るという思いがありました。
その時に、できるだけ飲まない場所で、本音が言えるコミュニケーションを取ることはできないかと考えたのです。
そしてもう1つは、世代間ギャップを埋めたいと思ったからです。私は、出張が多く常に外ばかり見ているため、会社の状況が把握しづらかったんです。社員がどんなことを考えているのか、社内の状況はどうなのか、きちんと理解せずにマネジメントなんて、不可能だと思いました。
つまり、最初にお話をした、1on1ミーティングが求められている3つの背景を、私自身が感じていたのです。
・プレイングマネジャー
・飲みニケーション
・世代間ギャップ
これらに対して、1on1ミーティングの必要性を感じたのです。
1on1ミーティングをやり始めると、驚くことがありました。話し始めると、1時間では終わらなかったのです。しかし、1時間で終わらないことに対して、苦痛は感じませんでした。
なぜなら、「社員は、こんなにもフラストレーションを溜めていて、伝えたいことがあったんだ」と実感することができました。だからこそ、1on1ミーティングが、1時間半になっても、2時間になっても、できるだけ社員が言える環境になるように工夫しました。
そして、1on1ミーティングは、定期的に続けることに意味があります。もちろん、経営者も忙しいですから、1on1ミーティングをするのは難しいこともあるでしょう。
ですが、なるべく定期的に行なうことを意識してください。以前1on1ミーティングをやった時に、社員にこう言われたことがあります。
「次の1on1ミーティングで言おうと思っていたんです。」
つまり、社員はフラストレーションを溜めていても、定期的な1on1ミーティングがあることで、そこまで我慢して、頑張ることができるのです。もし1on1ミーティングがなければ、社員は間違った方向に向かってしまったかもしれません。
また、アメリカのコンサルティング会社の経営者は、必ず1on1ミーティングは1対1でやりなさいと言いました。例え、社員が1対1で言いにくのだとしたら、言いやすい状況をつくらないといけないと助言をされました。
もし、その場に3人いたらどうでしょう。違うコミュニケーションが生まれてしまうし、2人だからこそ、言いにくいことも言えたりするものです。
社員の1人が、誰かに対して嫌な気持ちを抱いているとします。しかし、その思いを正直に1on1ミーティングで打ち明けてもらうには、秘密が守られる前提の環境にしておかなければなりません。
だからこそ、1on1ミーティングは1対1でやることに意味があります。
1on1ミーティングでどんな結果が期待できるのかについてです。
・職場のコミュニケーションの改善
・パフォーマンスの向上
・マネジメントか向上
・働きやすい職場の実現
・離職率の低下
・女性活躍促進
おそらく、1on1ミーティングによって、私はこれらを全て得られたと思っています。
特に、コミュニケーションの改善については、普段の中で経営者の話をちゃんと伝える場所って、意外に少ないですよね。でも、1on1ミーティングという、伝えることができる場所ができたことによって、社長と社員の間で起こってしまう、誤解も解消できます。
その結果、ロイヤリティが上がったり、離職が低下していることを実感しています。
離職においては、1on1ミーティングをやっても辞めてしまう人は、辞めてしまいます。しかし、1on1ミーティングやることで、経営者が辞めて欲しくないと思っている人は、辞めないでしょう。そうでない人が辞めるのであれば、それはそれで価値があると思います。
また、中小企業の場合は、1on1ミーティングと人事評価制度が連動させることも重要です。毎月の1on1ミーティングの中で、社員が自分で立てた目標に対して、どれだけ頑張れているのかを話合い、課題を解決することで、フォローをしてください。
一般の面談と1on1ミーティングは何が違うかについてです。
一般的にイメージする面談は、上司がつい一方的に偉そうなこと言って、部下がはいはいと聞いている状況です。上司が8割話していて、主に評価のために不定期に行なわれます。
それに対して、1on1ミーティングは、社員が、目標を達成できるようにフォローしたり、普段言えないことを言えるように、上司が喋らない努力をして聞き役側に徹します。社員が立てた目標を共有する、そして社員の成長を後押ししていくためのものです。1on1ミーティングでは、できるだけ社員が自分の言いたいことを、自由に言えることが理想的です。
私は、これまでマイケル・E・ガーバーさんをはじめ、多くの素晴らしい経営者の方々と出会い、多くのことを学ばせていただきました。その中で、ある経営者の方に言われたことがあります。
「従業員は、1人の人間として見なければいけない」
つまり、1人の人間が、どうしたらこの会社で働きやすくなるのか、個性が会社できるのかを考えるのです。社員という一括りではなく、1人の人間として、その人の感情とか人間性に興味をもつべきだと言いました。
そう考えると会社では、その場面は少ないと感じました。もちろん仕事場でのやりとりは発生します。しかし、その1人の社員が、どんなことを考えているのかを、一生懸命理解する時間は意識的に取らなければならないと
そこから、私はできるだけ、社員を1人の人間として興味をもつようにしました。
社員は、自分で立てた目標は、達成できた方が幸せです。そのためのサポートをしていかなければなりません。1on1ミーティングを実施し、社員のサポートをしなければならないと考えた時、よくコーチングを学ばなければと思う人もたくさんいます。そのような研修はありますか? と聞かれることもあります。
1on1ミーティングについて書かれた本には、必要なのは
傾聴力
フィードバック力
質問力
洞察力
など、必要なことがたくさん書いてあります。しかし私は、それより大切なことがあると思います。それは、社員を思いやる気持ちです。社員がもっと成長できたらいいな、うまくいって欲しいという思いがあれば、1on1ミーティングをする意味があると思います。
1on1ミーティングをやっていると、中には全く喋らない社員もいます。本当に、フラストレーションが溜まっていないのであれば、特に問題ありません。しかし、そうでない場合もあります。言いたいことはあるが、言い出せないケースです。
この場合、原因として考えられるのは、その社員が上司を上司としてしか見ていないのです。私もよく感じることがあるのですが、私を社長としては見てくれるが、安東さんとして見てくれる人はいないんですよね。社長としては見るが、私自身には興味をもってくれない。あくまでも社長としてしか、見てくれないんですよね。
同じように、社員も、上司を上司という一括りにしてしまっている人は、1on1ミーティングでも、本音を話してくれないことがあります。1on1ミーティングでも、相手を上司としてしか見てないと、なかなか心を開いてくれません。
しかし、そういった社員に対しては、実際に自分にも後輩を付け教育係にすることで、上司の気持ちが理解でき、変化していきます。
つまり、1on1ミーティングは中間管理職やリーダーの育成にものすごく役立つのです。
まだ1on1ミーティングを取り入れてない会社は、やった方がいいと思いますし、実際に取り入れている会社は、もっと工夫していくことが大切でしょう。
1on1ミーティングの頻度は、1ヶ月1回がベストです。多いなと感じるかもしれませんが、社員はたった1ヶ月の中でも、色々なフラストレーション溜めているものです。
特に新卒の社員は要注意です。先月の1on1ミーティングは、仕事が楽しいですと言っていたのに、今月の1on1ミーティングは、ひどく悩んでいる、なんてこともよくあります。
社員が若ければ若いほど、振り幅が大きいのは、理解しておくといいでしょう。逆に、落ち着いている社員については、2ヶ月1回と調整していってください。
1on1ミーティングは、効果や正しい方法を理解したうえで、やるかやらないかで、会社の成長度合いは大きく変わっていきます。
もしやるのであれば、長く続けることを意識してください。1on1ミーティングは、何のテクニックや投資、道具も必要なく会社を良くできる最強のツールです。ぜひ良い会社にするために役立ててください。