コンサルティング
近年、中小企業において専門知識やスキルを持つ人材を無償で活用する「プロボノ」の取り組みが広がっています。
プロボノとは本来、米国の弁護士や医師が無料または低額で行う奉仕活動を意味していますが、内閣府のプロフェッショナル人材事業ではプロボノを「自分の専門知識や経験を生かした社会貢献活動」と定義。この活動により、大企業や都市部にいる専門知識・経験を持つプロ人材と、課題を抱える中小企業をマッチングさせる取り組みを活発化させています。
(参考記事)
大企業のソフトウェア人材育成と中小企業のDXが同時に進む方法
https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2309/05/news085.html
上記の記事では、大手メーカー・デンソーがプロボノ人材によるプロジェクトを組成し、中小メーカーの製造DXを支援している様子が紹介されています。
なぜ大企業にとって中小企業が「人材育成の場」になり得るのか、また中小企業は大企業人材をどのように活用できるのか、その可能性を考えます。
従来、大企業は自社内で人材を育成してきましたが、近年では人材不足や専門性の高度化が課題となっています。そこで注目されているのが、中小企業という「人材育成の場」です。
中小企業は、大企業とは異なる環境や課題を抱えているため、大企業の社員にとって貴重な経験の場となります。実際に、大手メーカー・デンソーは、プロボノ人材によるプロジェクトを組成し、中小メーカーの製造DXを支援しています。
この取り組みを通じて、デンソーの社員は中小企業の現場における課題を肌で感じ、自社のDX推進に活かせるノウハウを習得することができました。
一方、中小企業にとっては、大企業人材の専門知識や経験を低コストで活用できるというメリットがあります。
例えば、マーケティングやITなどの専門知識を持つ大企業人材を導入することで、新たな事業展開や業務効率化を実現することができます。
また、大企業人材とのネットワークを築くことで、新たな取引先や資金調達などの機会を得られる可能性もあります。
プロボノ人材の活用は、単に人材不足を解消するだけでなく、社会貢献とビジネスの融合という側面も持ち合わせています。
大企業は、プロボノ活動を通じて、社会課題の解決に貢献することができる一方、中小企業は新たな事業機会や人材を獲得することで、持続的な成長を実現することができます。
経済的に厳しい人のために無償で弁護活動をするなど、海外では、弁護士や税理士などの専門家が自身の能力を社会貢献に活かそうとする動きが活発化しています。これは、単なるボランティア活動を超えた、社会貢献の原点とも言える新たな潮流です。
お金を寄付したり、ボランティア活動に参加したりすることももちろん価値があります。しかし、私は、自身の培ってきた能力や得意分野を、時間を決めて誰かのために無償で提供することこそが、真の社会貢献だと考えています。
現状ではまだ余裕はないのですが、将来的には、創業前の経営者や経営に苦しんでいる企業を無償で支援したいという強い思いがあります。
(安東邦彦/第2回に続きます)