コンサルティング
働き方改革関連法における猶予措置が終了し、2023年4月1日より、中小企業の月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率が50%に引き上げられました。
これは、長時間の残業による割増賃金が企業経営を圧迫するというだけの問題ではありません。
私自身も含めて、現在の中小企業経営者には、月あたり・日あたり・時間あたりの従業員1人ひとりの生産性向上を本気で考えることが求められているのです。
経団連の中では「生産性が低い中小企業は不要」という意見もささやかれているそうですが、いつまでもそんなふうに言われているのは悔しいですよね。
中小企業は今こそ変わらなければいけません。
低い生産性のままで従業員に長時間労働をさせるのではなく、1分1秒を無駄にせず短時間で大きな成果を上げる体制へ変わらなければならない。そして従業員へ高い給与を還元して幸せになってもらわなければならない。
中小企業が参加するゲームのルールは、すでに変わったのだと考えるべきでしょう。
その視点で自社を顧みれば、無駄な残業がいかに多いかに気づくはずです。ブレインマークスでもそうでした。
かつては従業員それぞれ、セルフマネジメントができていない状態だったため、無駄な残業がどんどん増えていたのです。
その状況を変えるため、毎月の月初に「今月やるべき仕事」や「突発的に入ってくるかもしれない仕事」などを洗い出し、一人ひとりのタスクを計画するようにしました。
この習慣付けを進めていくことで、ブレインマークスでは大幅に残業を削減することができました。
と言っても業務量が減ったわけではありません。同じ業務、あるいはそれ以上の業務を短時間でこなせるようになり、生産性向上につながっています。
生産性向上に向けた変化は急激に進むわけではありません。
ブレインマークスでは、チーム全体が良い習慣を当たり前に持てるようになるまで約10年がかかりました。
そう考えると、途方もない道のりに感じてしまうかもしれません。しかし人材育成はチームビルディングと一体です。
先輩メンバーが良い習慣を身につけていることで、新しく入るメンバーも高い基準を学ぶことができる。その好循環によってチーム全体のレベルを少しずつ高めていければ、生産性の高い組織に再現性を持たせることができるのです。
こうした取り組みが、結果的には個人レベルの底上げにもつながっていきます。
(安東邦彦/第3回に続きます)