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2023.05.09

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社員に「成長の糧」を与えるフィードバックの手法とは

安東 邦彦

フィードバックは「成長の糧となる栄養」

今回のブログでは「フィードバック」をテーマに取り上げます。

フィードバックは、その運用の良否が社員一人ひとりのモチベーションに大きく影響します。つまり、フィードバックは会社全体のパフォーマンスにとっても重要ということです。

それにもかかわらず、フィードバックの本来の意味を取り違えていたり、フィードバックが苦手と感じたりする上司が少なくありません。

では、どのようにしてフィードバックをし、社員のモチベーションに影響を与えればよいのでしょうか。

フィードバックの本義は、相手に対して成長の糧となる栄養(feed)を与えるということです。

フィードバックは、単に相手の欠点を指摘することではありません。成長の糧は基本的にポジティブな内容であるべきですし、もしネガティブな内容であっても、ポジティブに受け止めてもらうための何らかの工夫が必要でしょう。

会社全体のパフォーマンスを向上させ、社員の成長の糧となるフィードバックを実行していくためには、何が求められるのでしょうか。

フィードバックが逆効果に!?

では最初に、フィードバックの実態を見ていきます。本来は部下のモチベーションを上げるフィードバックですが、実際はその逆になってしまっていることも少なくないようです。

下図は株式会社コーチ・エィのコーチング研究所が行なった、「上司の行動と部下のモチベーションについてのアンケート調査」からの抜粋です。企業等で働く人を対象に、上司のどのような行動が部下のモチベーションを下げるのかを聞いています。


上記調査を見ると、「あなたの提案に対して否定的な意見から入って、うまく行かない理由を説明する」が32%、「周囲との摩擦を避けて、言うべきことを言わない」が20%となっています。

これは、言いづらいことを言えない、または言い方を間違えてしまう
という上司の姿を現しているのでしょう。

確かに、部下のすることが明らかに失敗しそうな場合は、理由を説明して止める必要があります。また、部下に気を遣って言いづらいことを言い出せない場合もあるかもしれません。

しかし、それによって部下のモチベーションを下げてしまうようでは、部下に成長の糧を提供しているとは言えません。この図からは、相手のモチベーションを保ちながらも、言うべきことを言うことの難しさが読み取れます。

実りあるフィードバックのための手法

効果的なフィードバックをすることの難しさが明らかになったところで、どうすればよいのかを考えていきます。

フィードバックの手法の第一には、「本人の目的と全体(チーム)の目的がつながっている」という認識を促すことが挙げられます。

その部下のプロジェクトが成功すれば、会社にどのように貢献できるのか。社会がどれほど良くなるのか。そうした未来像を語りながらフィードバックすることで、社員は「自分が何のために働いているか」が明確になり、モチベーションが向上するのです。

次に紹介したい手法が「サンドウィッチ・メソッド」です。

サンドウィッチを選ぶとき、人が注目するのは中身。つまりパンに挟まれた中身が大事だということです。

このサンドウィッチの中身こそが「こうしたほうがいい」というフィードバック。ただ、それを直接的に伝えると、時にネガティブな印象を相手に与えてしまうことがあります。

そこで、肯定や褒め言葉、あるいは応援といったふんわりしたパンで挟むことで、具単体で食べるよりもずっとおいしく食べられるようになるのです。

相手にとって耳の痛いことを言うのが苦手だという人は、こうした方法があることも知っておいてください。

加えて「アイ・メッセージ」という手法もフィードバックには有効でしょう。

これは、相手の問題点を直接指摘するのではなく、あくまでも自分の主観的な意見として伝える手法です。

相手を主語にして、「君はここをこう直したほうがいい」という言い方をすると、「お前が悪いと言われた」という否定的な印象を与えるため、相手は警戒心を強くしてしまいます。

一方で、「君のあの行動で、私はこんなふうに感じた」という言い方をすれば、あくまで
「私個人の意見」という意味合いになるため、攻撃性が弱まるのです。

相手も聞く耳をもちやすくなるはずです。

フィードバックの土台になるものは

このような手法の他に、効果的なフィードバックをするためには、相手との「信頼関係」も必要です。

部下にとって耳の痛いフィードバックでも、「この人が言うのだから自分にとって本当に必要なことなんだ」と素直に受け止められるのは、相手への信頼が根底にあるからです。

例えば、部下に対して「時間を守れ」と言っているにもかかわらず、自身は会議に遅れても素知らぬ顔では、部下が反発したくなるのも当然でしょう。

ただ、上司も完璧ではありません。時には失敗をしてしまうこともあるでしょう。そんな時こそ、相手が部下であろうと正直に失敗を認めることが何よりも大切ではないでしょうか。
その姿から部下が学べることは多いはずです。

フィードバックは個人のモチベーション向上、組織のパフォーマンス向上に役立ちます。

それを真に効果的なものとするためには、日頃から部下との信頼関係を構築した上で、相手がポジティブになれるやり方を工夫することが大切なのではないでしょうか。

その積み重ねが部下の成長を促し、組織を強くするのです。

(安東邦彦)

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