コンサルティング
中小企業経営者にとって、賃上げは耳の痛い話題かもしれません。
ギリギリの経営状況の中で、どこまで社員への配分を高めていけるのか。いつまでも尽きない悩みです。
しかし、限られた人材リソースで戦う中小企業だからこそ、賃上げには経営を前進させるための大きな意味があるのです。
人は、給与が安ければモチベーションが下がりやすくなり、給与が高ければモチベーションが上がりやすくなるもの。つまり給与を上げれば、人材マネジメントがより簡単になると言えます。
中小企業経営者は「たくさんの給料を払うと損」ではなく、「たくさん給料を払うことで人材マネジメントの負担が軽減する」と考え、必要なアクションを起こしていくべきではないでしょうか。
長い目で見れば、これは大きな投資対効果となるはずです。
では、どの程度の賃上げが必要なのか。「日頃、給料について社員と話す機会は少ない」という経営者も多いかもしれませんね。
私自身は、社員に対して定期的に「今の給料で満足しているのか」を聞いています。
私が給料についてストレートに社員へ聞くのは、社員の満足度を知ることが大切だと考えているからです。
定期的な社員との面談の場では、「今の給料に満足している?」と聞くようにしています。社員個別に満足度を測ることはもちろん、会社全体の水準を考えるためにも、聞くべきことだと思っています。
どんなにきれいごとを言っても、人が働く理由の少なくとも半分はお金でしょう。その意味では、外部とのバランスを見ながら、しっかりと利益を社員に還元していくこともマネジメントの一つです。
私自身の考えとしては、基本的には少しずつでも賃上げをしていきたいと考えていますし、近年では決算賞与も出せるようになりました。
経営者としてのこうした考え方が、組織の基盤を支えるためには欠かせないと思います。これがなければ、社内にはどんどん不満が蓄積していくはずです。
以前の私は、「社員の給与は平均的な水準を確保できればいい」と考えていました。しかし今は違います。
給与を高くすることには、経営を前身させる上での大きな意味があるのです。
経営者として、給与を上げることの意味をちゃんと考え、歯を食いしばって賃上げしたほうが、結果的に会社の成長につながるはずだと確信しています。
私がコンサルティングで関わる企業の中には、決算賞与でなんと給与の12カ月分を支給している会社もあります。事業が好調な分、社員のみなさんはハードワークが求められている現状もあるのですが、会社を去っていく人はほとんどいません。
いい仕事をして、みんなで頑張って、たくさんお金をもらう。その正の循環を回していくことで、人は長く活躍し続けてくれるのです。
(安東邦彦)
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