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ここ数年、働き方改革の波のなかで、「副業」が大きな注目を集めるようになりました。
最近でも大きな動きが起きています。2022年7月、厚生労働省は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を改定。企業に対して「副業を認めているかどうか」などの情報の公表を促すようになったのです。
では、企業側はどのように対応しているのでしょうか。
パーソル総合研究所が2021年に実施した調査(第2回 副業の実態・意識に関する定量調査)によれば、副業を全面容認している企業が23.7%、条件付き容認が31.3%となり、合わせて55%の企業が副業を容認しています。
とはいえ、「こうした動きは大企業中心の話ではないか」と感じる経営者も多いでしょう。事実、どんなに世の中で副業容認がトレンドとなっても、中小企業が実際に副業を認めていくには高いハードルがあるのも事実です。
中小企業は、副業トレンドとどのように向き合っていくべきなのでしょうか。
副業トレンドについてもう一段深く考えていくために、働き手側の視点でも見てみましょう。
上記で紹介した記事では、リクルートが2022年1月に実施した「兼業・副業に関する動向調査2021」の結果についても紹介されていました。
これによると、兼業・副業を「実施中」の人は調査対象のうち9.4%、「現在は副業していないが過去に経験あり」という人は全体の8.8%と、実際に副業をしている人はまだまだ少数派であることが分かります。
ただし、注意深く見ておきたい項目もあります。「今後副業を実施したい人(過去に副業経験なし)」の割合です。ここでは40.9%が将来的に副業に取り組みたいと考えており、関心の高さがうかがえます。
大企業を中心に副業容認の対応が進む一方、働き手の側にも、副業が当たり前の選択肢として認識されつつあると言えるのかもしれません。
このように「将来的に副業をしたい」と考えている人が、所属する企業で副業を認められなかった場合、どんなことが起きるでしょうか。
実際に副業を始めたいと検討する段階になったら、副業容認の環境を求めて転職してしまうかもしれません。さらに悪いケースとしては、会社や上司には内緒で別の仕事を始める、いわゆる「ステルス副業」の状態となってしまう可能性も。
また、働き手側に副業検討層が多いということは、採用市場において副業容認企業が有利になるということでもあります。副業を認めるかどうかで、採用力に影響する時代となってしまうのかもしれません。
では現実的に、中小企業で副業を認めることは可能なのでしょうか。次回のブログではその具体策を考えてみたいと思います。
(安東邦彦/第2回に続きます)