コンサルティング
前回までのブログでは、ベテランが持つスキルを若手に伝承していくための組織作りについてお伝えしてきました。
若田が自己成長に喜びを感じられる文化を作ったら、次は学びのための仕組みを整えていく必要があります。
その方法論とは、「考え方(心得)」×「成果を上げるためのスキル・知識」×「トレーニング」の公式に当てはめて仕組みを作っていくこと。
たとえばブレインマークスの場合は、コンサルタントとは縁の下の力持ちであり、黒子であるという考えのもと、主役はあくまでも顧客であるという「心得」を徹底的に教えています。
同じ知識を持っていても、心得次第で行動はまったく変わるのです。そして成果もまた、心得を理解しているか否かによって大きく左右されます。
私自身もかつては、コンサルタントの育成に悩んでいた時期がありました。
必要だと思われる知識やノウハウをどれだけ伝えても、顧客の現場ではなかなか成果を出せなかったのです。
それは、心得を重視せずに教育を進めようとしていたからでした。
何を教えても成果が出ない……。
悩みを抱えていた私はある日、メンバーに「コンサルタントの心得をどう考えているか」をアウトプットしてもらうことにしました。
その内容を聞いて私は驚きました。日頃私が考えていることや、私が目指しているコンサルタント像とはまったく違う答えだったからです。
ある人は、やることなすことすべて自分を主役に置いて考えていました。「顧客に感謝されることが喜びです」。そんな答えが返ってきました。縁の下の力持ちでも、黒子でもなく、自分自身を称賛されることにやりがいを感じていたのです。
また、私たちのコンサルティングでは顧客の習慣を変えることを重要視し、顧客の悪い習慣を修正し、良い修正を伸ばしていくことを常に意識しているのですが、コンサルタントとして上段に構えて顧客の欠点ばかり指摘しているメンバーもいました。
これでは継続的な成果を顧客に提供していくことはできません。
それ以来私は、「ブレインマークスのコンサルタントの心得」を明文化し、研修における最優先事項として教えています。
では、自社に必要な心得をどうやってまとめていけばよいのでしょうか。
理念やコアバリューなどは社長の考え方がベースとなりますが、仕事で成果を出すための心得は、その業務で最も成果を出している人の行動がベースになるはず。まずは成果を出している社員の心得を聞き、分析することが第一歩になるかもしれません。
ブレインマークスでは現在、支援先の顧客の現場で、その企業ならではの心得を明確にできるようアプローチし続けています。
せっかく「学ぼう」「顧客のために頑張ろう」と思える企業文化があるのに、成果を出していくための心得が共有されていないのは、非常にもったいないことだと思います。
良い土壌があって良い文化が育ち、心得が理解されていく。この好循環が回っていけば、スキル伝承の課題も乗り越えていけるはずです。
(安東邦彦)
▼【ブレインマークス流「スキル伝承」の進め方】の過去記事はこちら