コンサルティング
コロナ禍では、多くの企業がOJTでの研修を制限せざるを得ませんでした。
特に中小企業では社員の高齢化が深刻化し、ベテランから若手へのスキル伝承が急務となっている会社も少なくないはずです。
前回のブログでは、スキル伝承の第一歩として「自己成長することに喜びを感じる文化」を作っていくことが重要だと書きました。自らの意志で「学びたい」と思う若手が増えれば、スキル伝承は7割方、完成しているようなものです。
残りの3割で必要なのは、学びのための仕組みを作ること。自己成長に喜びを感じる若手のために、どのような体制を整えていくべきなのでしょうか。
実はこれには明確な方法論があります。
それは「考え方(心得)」×「成果を上げるためのスキル・知識」×「トレーニング」の公式に当てはめていくこと。この掛け合わせで仕組みを作ることが重要なのです。
ブレインマークスの具体例を交えて解説します。
私たちブレインマークスでは、中小企業向けのコンサルティングをサービスとして提供しています。
その現場に携わるコンサルタントに対しては、顧客とどう向き合うべきかを徹底的に学び、どうやって顧客へ成果を提供するかの知識を身につけ、実際に顧客を支援した際のビフォー・アフターを事例として習得していくトレーニングを行っています。
第一に学ぶべきは「顧客とどう向き合うべきか」、つまりコンサルタントとしての考え方です。
私のこれまでの経験上、成果の上がらないコンサルタントは、顧客に対する向き合い方が間違っていることがほとんどでした。
コンサルタントとして価値提供できている人がどんな考え方で顧客と接しているのか、どんなポジショニングを取っているのか。そうした「心得」を理解していないがために、どれだけ知識を増やしても実践の行動を間違えてしまうのです。
たとえば私は、コンサルタントとは縁の下の力持ちであり、黒子だと考えています。主役はあくまでも顧客。コンサルタントはどうすれば顧客にアクションを起こしてもらえるかを考えなければいけません。
しかし自分が主役だと思っているコンサルタントは、自分自身が「すごい」と思われたいという考えで行動しがちです。どんなに知識があっても、どんなに顧客の前で論を振りかざしても、顧客のアクションにつながらなければ何も意味がないのに。
このように、同じ知識を持っていても、心得次第で行動はまったく変わります。
たとえば営業職を引き合いに出しても、同じことが言えるのではないでしょうか。
営業として必要なアプローチ能力やプレゼン方法などのノウハウはいくらでも学べるかもしれません。しかし、どれだけノウハウを持っていても一向に売れない営業もいます。それは成果を出す営業の心得がないからです。
本当に成果を出している営業は、顧客と向き合いながら「この企業の課題は何だろう」「どうすれば解決できるだろう」と常に考えているもの。
かつ、問い合わせへの対応や電話の受け方など、売れている営業は初動がとにかく速いですよね。基本的なことを高いレベルで考え、大切にしているのだと思います。
商品を売ることでそこそこの成果を出せても、顧客の課題に常にフォーカスしていない人は飛び抜けた成果を出せません。顧客の次のニーズが見えないので、アップセルやクロスセルができないのです。
どんな業務でも、スキルや知識以上に大切になるのが「心得」です。かく言う私自身も、かつてはこれを理解しておらず、人材育成に苦しんでいた時期がありました。課題にフォーカスしていると上下左右のニーズが見える
どんな業界もそう
ブレインでも、中途で入ってきた人は最初はコンサルティングを売ろうとしてしまう でも課題解決できないのに売ってはいけない
(安東邦彦/第3回に続きます)