コンサルティング
中小企業が後継人材を育成していくためには、何をするべきなのか。
前回のブログでは、「予測不可能な経営から“予測可能な経営”へ転換する」ことの重要性をお伝えしました。
その変化を実現するには、スーパー社長が持っている才能や得意領域を会社へ移植していかなければなりません。
ブレインマークスも今、10年構想で後継人材の育成を進めています。私自身の得意領域をどうやって会社へ移植していくか。このテーマにずっと取り組んでいるのです。
私が自己認識している得意は「徹底してPDCAを回すこと」。自分が一度「こうなりたい」と決めたら、そこに向かって妥協なくPDCAを回し続けてきました。
PDCAを回すとはどういうことか。たとえば個人の観点なら、「これくらいの年収を実現したい」と考え、その実現に向けて戦略を描き、実行していくということです。
会社であればビジョンを描き、そのビジョンをロックオンして動いていくということ。
ちなみに私が30代でブレインマークスを起業したときには、きら星のごとく出てきた経営コンサルタントのなかから1人をベンチマークし、「組織作りでその人に勝つ」と決めました。今も戦略を動かし続けています。
この他にも私は、会社に移植すべき自分自身の得意領域を特定して、どのように受け継いでいくかを考えています。
PDCAを回していく以外にも、私は大きく分けて2つの得意領域を会社に移植していきたいと考えています。
1つは「プレゼンテーション力」。私がこれまでに経験したピンチを切り開いてきた最大の武器がプレゼンテーション力でした。これもぜひ会社に植え付けたいと考えています。
経営の指導理論をテキスト化してまとめ、PDCAの文化を根づかせ、プレゼンテーション力を身につければ、企業として成長し続けられるはずだからです。
また、私自身の「情報収集力」も会社に移植すべき得意領域だと認識しています。
情報収集力とは、掲げたビジョンを実現するために必要な情報を集め続けていく力です。
新聞やネット、SNS、YouTubeなどで情報をインプットするのはもちろんのこと、私は広告にはとにかく乗っかって、ありとあらゆる営業を受けたり、外部講座に参加したりしてきました。
こうした情報収集にかける予算は、年間では1000万円程度に上ります。参加費用が100万円を超える研修もどんどん受けるようにしているので、これくらいの予算規模になってしまうのです。
こうした投資は、真剣に得るべき学びを見定めるためのもの。投資をしなければリターンは絶対にないわけですから、予算を惜しむことはありません。
外部からの学びに投資した結果、自社のサービスに取り入れて昇華させてきたケースはこれまでにたくさんあります。
私は、ブレインマークスの後継者にこの「投資感覚」を持ってほしいと思っています。情報収集に400万円を投資するなら、何がなんでも400万1円を回収するという感覚です。
とはいえ、予算は無限ではないので、勧められる講座や研修にすべて参加するわけにはいきません。自分自身の時間も有限です。
どんな場に、どのようなヒントが眠っているのか。それを嗅ぎ分ける力は一朝一夕に身につくものではないので、社員にもさまざまな講座に参加してもらうようにしています。
そして、そこで得た学びを投資回収につなげられるかどうかを見ていくのです。単に研修の学びを生かすだけではなく、事業そのものを作るにつなげられるかどうか。
これもまた簡単なことではありませんが、経営者に必要な力だと考えています。
(安東邦彦/第3回に続きます)