コンサルティング
ここ最近、経営論やマネジメント論などにおいて話題に上ることの多い「パーパス」。
前回のブログではパーパスを経営理念とほぼ同義のものであると捉えて、その重要性をお伝えしました。
ブレインマークスが考える経営6大課題の一つ「組織が一つにまとまらない」ことを防ぐためにも、企業として目指す目的や存在意義を明確にすることが大切です。
▼経営の6大課題とは?
https://www.brain-marks.com/beginner
では、中小企業の経営者はどのような心構えでパーパスを考えていくべきなのでしょうか。
パーパス(理念)は、企業として大切にすべき最上位の概念だと言えます。企業の存在意義は明確なほうがいいに決まっています。
ただし、どんなにかっこいい言葉やきれいな言葉を置いたとしても、パーパスが何の意味も持たなくなってしまう状況も起こり得るのです。
それはどんな状況だと思いますか?
パーパスは、企業が何のために社会に存在しているかの理由を説明する言葉です。
その理由が明確に、分かりやすく伝わることはもちろん大切なのですが、何よりも重要なのは経営者自身が「パーパスを経営の中で本気で実現する」ことにコミットしていること。
考えてみれば当然ですよね。いわば会社の「魂」とも言えるパーパスに経営者が本気で向き合えていないのなら、それを掲げることに何の意味もありません。
パーパス策定にあたっては、プロセスばかりが重視されるきらいもあります。「経営者が1人で考えるのではなく、社員みんなで考えたほうがいい」といったような。でも、どんな方法で決めたとしても、経営者自身の思いがこもっていないパーパスには意味がないのです。
これは、昔からある「経営理念作り」の研修やコンサルティングでも同じことが言えます。理念とは何か、どうやって言葉をまとめていくのか……。そうした知識を学ぶのは大切ですが、本気で実現したいと思える理念を掲げられなければ、ただの学びで終わってしまうでしょう。
経営者が本気で実現しようと思っていないパーパスや理念は、単なるきれいごとです。そして残念なことに、世の中の多くの会社のパーパスや理念はきれいごとになってしまっています。
パーパスや理念が、単なるきれいごとになってしまっている。
現在の経営状況やアクションを見れば、そんな企業をすぐに判別することができます。
「○○を通じて社会に貢献する!」と言っているのに、そのために何をやるかが経営計画書に書かれていない。
理念を実現するための行動計画がビジョンにも行動指針にも示されておらず、いきなり売り上げの話になる。
そんな状態の企業が本当に多いのです。
企業も人も、正しいことを続けるのはとても大変なもの。「人に優しくする」とか「正義を貫く」といった言葉はとてもきれいに響きますが、実践し続けるには並大抵ではない努力が伴います。パーパスや理念に基づく経営も、これに通じる部分があるのかもしれません。
歯を食いしばってきれいごとをやり抜く。パーパス経営にはそんな覚悟が求められます。
しかし世の中を見れば、この大前提(経営者の覚悟)がないのに、「社員に理念が浸透しない」「理念に共感する人材が集まらない」といった悩みをこぼす社長が非常に多いのも事実。
経営者が歯を食いしばって、そのパーパスを本気で実現しようと考えていれば、社員にも自然と浸透するはずです。
真剣にパーパスを実現しようとすれば、自社のやるべきことが見えてきます。そうやって本気で取り組んでいる会社には、共感する人が集まってきます。
事実、世界規模での成功を収めている企業を見れば、創業時から変わらないパーパスを本気で追いかけていることが分かります。
(安東邦彦/第3回に続きます)