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2022.04.08

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昔ながらの「三世代同居」から学ぶ最強の組織づくり

安東 邦彦

「三世代同居」のメリットとは

今回のブログでは、人口減少社会における組織づくりには欠かせない、ベテランと若手の融合について考えたいと思います。

そのヒントとなるのが家族形態です。

かつての日本では「三世代同居」という家族形態が当たり前に見られました。ところが近年はめっきりと少なくなり、三世代同居は過去のものとなりつつあります。

内閣府の「高齢社会白書」によれば、1990年の三世代同居率は全世帯数の39.5%を占めていたにも関わらず、2014年には13.2%となっているのです。

三世代同居が減少の一途をたどっているのには、もちろん理由があるはず。

まずは住環境を含めたライフスタイルの変化が大きいでしょう。三世代が同居できる大きな家を維持することは難しく、マンション暮らしが多くなったことも要因の一つです。

次に、いわゆる嫁姑関係に代表される人間関係のわずらわしさを解消したいという気持ちも働いているのではないでしょうか。

しかし三世代同居はデメリットだけではありません。メリットもあるからこそ、減少傾向にあるとはいえ、今に至るまでそのスタイルが残ってきたのです。

その1つに、各世代特有の文化や長所が混ざり合うことがあります。

このメリットに着目すれば、企業経営や組織づくりのヒントを得られるかもしれません。

日本企業の社員平均年齢は?

では最初に、日本企業の現状を知るために上場企業の社員平均年齢を確認します。

下図は東京商工リサーチが行なった「上場企業2318社の平均年齢」調査からの抜粋です。

上図はあくまでも上場企業2000社あまりの統計であり、日本企業全体のものではありません。しかし、ある程度は日本企業の傾向を知ることができるかと思います。

この調査によると、社員の平均年齢は調査対象期間においては上昇傾向にあることが分かります。なんでも上場企業の7割で社員の平均年齢が上昇しているそうです。

上記グラフは少々古いデータにはなりますが、今の日本企業を取り巻く環境を見れば、引き続き上昇傾向にあることが推測できます。

なぜなら、現在日本全体で高齢化や人口減少が社会問題として認識されているからです。その影響を企業が受けていないはずがありません。

若手確保の一方でベテランの活用が求められる

下図は冒頭でも紹介した内閣府「高齢社会白書」からの一部抜粋です。人口推移の推測をしています。

上図では、今後も日本の人口は年々減少していくことが示されています。さらに同調査では、高齢化も今後ますます加速すると予測していました。この影響を受け、企業の平均年齢が上昇するのは当然かもしれません。

しかし、このまま年齢上昇が続けば企業の勢いは衰えていくばかりであることも事実です。

若手のもつ柔軟性や勢いは、企業成長にとって重要な後押しとなります。

今後はいかに若手を確保できるか、若手が「働きたい」と思える会社づくりができるかが重要になるはずです。

一方で、若手確保と同時に考えなければならないこともあります。それがベテラン層の活用です。勢いや柔軟性では若手に劣るかもしれませんが、彼らの経験や知識は決してないがしろにできるものではないはずです。

画期的なスピーカーの開発者は72歳

ここで紹介したいのが、株式会社サウンドファンの事例です。

サウンドファンは、「すべての人が聞きやすいバリアフリースピーカー」の開発・製造・販売を行っている会社。

バリアフリースピーカーとは、平面の振動板を湾曲させることで、放出した音のエネルギーが減衰しにくくなり、遠くまで届くという現象を利用したスピーカーシステムです。

このソリューションはすでに多くの公共機関で導入され、難聴者でもアナウンスが聞き取りやすくなるという成果が出ています。

注目していただきたいのは、このシステム開発が、ベテラン層の経験と知識によって成し遂げられた点です。

サウンドファンの社員の平均年齢は55歳です。その多くが、他企業で開発等を行なってきたベテラン層です。特に今回のスピーカーシステムの開発・製造の中心になった人物は、なんと72歳(当時)だといいます。

スピーカー開発のヒントとなったのは「蓄音機」だそう。若い人からは出てこなかったであろうアイデアですね。まさに、ベテランの経験と知識によって成り立った製品だと言えるのです。

このように、若手には若手の、ベテランにはベテランの長所があります。そして互いに短所があることも事実です。どちらか一方に偏っても組織基盤は強くなりません。

大切なのは、各世代それぞれが長所を生かし、他の世代の短所をバランス良くカバーしていくことです。組織の醍醐味はそこにあるのではないでしょうか。

(安東邦彦)

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