コンサルティング
コロナ禍を経て、盛んに叫ばれるようになった「自律人材」の重要性。
ブレインマークスが関わるコンサルティングの現場でも、社員に自律を求める経営者の思いを聞くことがたくさんあります。そこで現在では中小企業における経営の6大課題の一つに「社員の自主性と成長意欲がない」ことを挙げ、その解決策を提示しています。
(参考)中小企業に共通する経営の6大課題とは?
https://www.brain-marks.com/beginner
自律人材とは? それは何も、「複雑なマネジメントをせずとも自走してくれる」便利な人材のことを指しているわけではありません。
重要なのは成果を出すために自分で考え、自分で行動する習慣を持った人材を育成することです。
実は、この習慣を社員に身につけてもらうために経営者がやるべきことは明確です。今回はその方策についてお伝えします。
企業組織において、人が自律していくために必要なパターンは明確です。
一つはその組織で「成果を出す」ことがシンプルに認められること。
成果を認めると言えば当たり前のように感じるかもしれませんが、もちろん、取り組めば誰でも結果を出せるような成果を指しているわけではありません。
チャレンジングな目標に挑み、自身の成長や組織への貢献において大きな意味のある成果を出せるかどうか。それを認める文化を作るためには、失敗に寛容な風土も重要です。失敗を責め立てるのではなく、挑戦したことを評価する企業文化が必要なのです。
二つ目が、企業の価値観として明確に自律が重視されていること。
たとえばブレインマークスにおいては、社員が体現すべきコアバリューにおいて「自律」を重視しています。これに基づいて、さまざまな制度設計を進めています。
そして三つ目。社員が自律するためには、ある程度の情報が必要です。
従来、多くの企業には、あえて社員に情報を与えないことでコントロールしてきた面がありました。重要な情報を持っているのは経営層や上司だけ。それが上司の権力の源となっていたのです。しかしこれでは、社員自身が成果に向かって考えるための材料を得られません。
ブレインマークスの場合は「オープンブックマネジメント」を行い、会社の業績や財務情報などを開示して、社員自身に考えてもらう材料を与えています。
文化を作り、制度を整え、情報を与える。この3つがそろわなければ、自律人材は育たないでしょう。
私自身も、ブレインマークスという会社を経営する上で、いかに社員に自律してもらえるかを最も重視しています。
私が常日頃考えているのは、「社員が夢中で目標達成を楽しむゲーム」を作ること。
ゲームを楽しんでいる人は、例外なく自律的に参加して楽しんでいますよね。
基本的なルールを覚え、基本的な戦い方に慣れるまでは「やらされ感」を覚えるかもしれませんが、その時期を過ぎれば自分の意志でゲームを楽しめるようになる。
私は、働くことも同じだと思うのです。文化を作り、制度を整え、情報を与えることは、社員に夢中で楽しんでもらうゲームを作っているということなのです。
こうした準備をすることなく「うちの社員は自律してくれない」と嘆いていても、何も始まりません。
(安東邦彦/第3回に続きます)