コンサルティング
前回まで、ブレインマークスの取り組みを紹介しながら、中小企業にとってのテレワークの意味を考えてきました。
テレワークは今後、どれくらい日本社会に定着していくのでしょうか。中小企業でもテレワークを積極的に進めなければならない時代が本格的に訪れるのでしょうか。
完全に見通すことはできませんが、今回のコロナ禍はあくまでも「きっかけに過ぎなかった」ということは言えるでしょう。
労働人口減少の影響やデジタル化の波が全産業に押し寄せる中、いずれは避けては通れなくなるはずだった変化が、新型コロナウイルスによって早まることになった。そう考えれば、私たちは今まさに貴重な経験を積み重ねているとも言えるのではないでしょうか。
ブレインマークスの実例としてご紹介したように、テレワークへの対応では、現在の社員の働き方を無理やり変える必要はないと思っています。
私たちが新規採用を糸口としてテレワーク人材を活用しているように、中小企業それぞれに合ったやり方があるはずです。
ただし、避けられない変化への危機感だけは、どんな中小企業でもしっかり持っておくべきだと考えます。私自身がこのタイミングで新たな人材活用の取り組みを進めているのも、そうした危機感に突き動かされたからでした。
前回までのコラムにも記した通り、私がテレワーク人材の活用を進めているのは、テレワークを導入したかったからではありません。
一つはテレワークという手段によって会社としての戦力アップを図るため。そしてもう一つは、今とは比べ物にならないくらい人が採用できなくなる時代に備えるためです。
少子化が進む中で、私はあと5年もすれば、今の比ではないくらい人が採用できなくなる時代がやって来ると考えています。そのときに大企業と採用シーンで戦える必勝パターンをつくっておかなければいけない。そんな危機感のもとでテレワーク人材の導入を進めてきました。
付随して、2021年度は採用関連の投資を大幅に拡大しました。
テレワーク人材の採用活動はオンラインがベースとなります。そのため、ブレインマークスの会社説明や理念説明、事業説明などを動画化し、直接会わなくても理解してもらいやすいようにしました。
現在は社内マニュアの動画化も急ピッチで進めています。テレワーク環境でもマニュアルを参照しやすいようにするためです。
こうした取り組みによって、テレワーク人材の採用以外でも、新しい人が入ってきた際にかけていた人的コストが大幅に削減されるようになってきています。新たな働き方を導入していく中で、マネジメントや教育の機能も磨かれているのです。
コロナ禍による働き方の変化や、コロナ以降の働き方の潮流についてはさまざまな議論がなされていますが、私は「コロナが終わっても残る本質的なもの」にしか興味がありません。
テレワーク中心でも成果を出せる、戦力をアップさせていけることが証明された業種や会社は、おそらくコロナ以降も現在の働き方を続けていけるのではないでしょうか。
それが本質的に、企業にとって必要なものだからです。
ブレインマークスはテレワーク人材の活用を進めることで、これまでは出会えなかったような優秀な人を全国から見つけ、ともに働けるようになりました。私たちにとっては、これを続けない手はありません。
中小企業の人材活用やマネジメントの悩みはこれからも尽きないのだと思います。一方では、今だからこそ見つけられる方法や、確信を持てる方法があるのではないでしょうか。
それはコロナ禍を乗り越えることだけではなく、近い将来に訪れる真の人材難時代を乗り越えていく上でも、大きな意味を持っているはずです。
(安東邦彦)
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