コンサルティング
コロナ禍をきっかけに、一気に拡大しているオンライン研修。
私のように「いかにスキマ時間で学ぶか」を考えている人には、オンラインは最強の手段だと言えます。
例えば、研修を1回だけ受けても人はなかなか変われないものですが、動画で何度も見直せるオンライン研修のコンテンツは、学びの定着に向けても大きな意味を持つでしょう。
こうしたサービスは、今後も確実に広がっていくと考えられます。
一方で利用企業では、こうしたサービスの「使い方教育」を進めていく必要もあるでしょう。
個々人のニーズに応じて学びの内容を選べるということは、個々人で使い方の濃淡が表れてしまう可能性もあるということ。
せっかくの機会として導入しても、学びのインプット量や効果が人によって大きく異なるようでは、もったいないですよね。
今回は、オンライン研修サービスを導入する際に考えたいガイドラインのあり方について考察します。
オンライン研修サービスのメリットは、多彩なメニューの中から社員それぞれが必要な学びを選べる点にあります。
一方では、「どうやって活用するかをみんなで考える」「経営や人事として、どんなふうに学んでもらいたいかのガイドラインを示す」ことも必要だと思っています。
あくまでも社員が学びたいものを自由に学んでもらうべきなのか。それとも従来のように、会社が学んでほしいテーマを提示するべきなのか。
結論から言うと、どちらもハイブリッドで導入すべきであり、対象によって活用の方向性は変わるのではないでしょうか。
よく言われる「2:6:2の法則」でいえば、上位2割の優秀層は、好きなように学んでもらって問題ないでしょう。
真ん中の6割の層へは、まさにハイブリッドの考え方で導入するべきだと考えます。
人は、新たなものや変化するものを無意識のうちに拒んでしまうもの。学ぶ気はあっても、変化する怖さが先に立ってしまえば、自主的に選ぶ学びは「自分の脳が慣れ親しんでいる分野ばかり」になってしまうかもしれません。
そうした人に対しては、これまでの価値観にはない学びに出会えるよう、会社側がある程度導いてあげる必要もあると思います。自分が共感できるものばかり学ぶのではなく、自分にパラダイムシフトを起こすためのテーマも選ぶ必要があるのです。
(ちなみに私自身は、意識して自分が苦手なものばかり学ぶようにしています)
下位の2割の層は、もともと学ぶ習慣を持っていない可能性が高いでしょう。まずは学ぶ習慣を身につけてもらうべく、最初は会社からテーマを提示し、新たなインプットの楽しさを知ってもらうことが重要だと思います。
研修や学びに限ったことではありませんが、私は中小企業の経営者として、「大きな変化を目指すのではなく1%の変化を続けていく」ことが大切だと常々考えています。
毎日1%ずつ変化すれば、1年が経つころには指数関数的に変化のスピードが伸び、37倍にもなっているのです。
そう考えれば、社員が日々の学びを習慣化し、少しずつ変わっていけるようにすることこそが、経営者の仕事だと言えるのかもしれません。
学びを難しく捉えすぎるのではなく、気軽に、ちょっとずつ取り組んでいく。
そんな意識の変化をもたらす意味でも、低い敷居で参加できるオンライン研修のサービスは大きな可能性を秘めているのかもしれません。
(安東邦彦)
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