コンサルティング
新型コロナウイルスの影響で大きく変わってしまったものの一つに「研修」があります。
従来、研修といえば、自社の会議室に集まったり外部の会場に出向いたりする「集合研修」が一般的でした。学びの前提は、リアルな場に集まることにあったのです。
しかし、コロナ禍では密状態となりがちな集合研修の実施が困難となりました。中小企業経営者や人事担当者の中には、人材育成の手法について頭を悩ませている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
一方、この状況で急伸しているのがオンラインで学びを提供するサービスです。
2021年2月27日の日経新聞夕刊記事では、その動向を伝えています。
例えば、2000本以上の講座が学べる定額サービス「グロービス学び放題」の受講者は、2020年の1年間で14万人へ倍増。
また、さまざまな分野の講師と学びたい人をつなぐプラットフォーム「ストアカ」の登録者数も10万人増え、約50万人へ拡大しているといいます。
コロナ禍をきっかけに広がる「学びのオンライン化」の流れは、中小企業にどのような影響をもたらすのでしょうか。今回はその可能性を考えてみたいと思います。
ここ最近の変化で注目すべきなのは、研修サービスのオンライン化の流れだけではありません。
その提供内容を見てみると、「社員が学びたいテーマを選べる」形の研修方式を取り入れる企業が増えていることが分かります。
従来のように会社が指定する研修へ(ときには嫌々ながら……)社員が参加するのではなく、現状で「自分自身の必要な学び」を社員が考え、自ら選択する流れもまた、加速していると言えるでしょう。
背景には、変化の激しい時代にあって「会社が提供する研修だけでは社員の視野を広げられない」と考える企業側の意図があるようです。
現在はどんな業種の企業であっても、新規事業へのチャレンジを避けては通れない時代です。「自社の既存事業におけるスキルを深める研修」や、「社員の現在の職種におけるスキルを深める研修」だけでは、新たなチャレンジに対応できる人材を育成することはできません。
また、従来よりも大幅にコストを抑えて導入できるオンラインの学びだからこそ、企業側も社員の裁量を重視して提供できるのかもしれませんね。
こうしたメリットは、大企業だけでなく中小企業でも積極的に取り入れていけるのではないでしょうか。
オンラインでの学びには、時間や場所に縛られず、自分の都合に合わせて学習できるという大きなメリットもあります。
このメリットはコロナ収束後も変わらない価値であり、オンラインで学びを提供するサービスは今後も伸びていくでしょう。
私は個人的に、この流れは本当にありがたいことだと思っています。
研修がオンラインになったことで、私自身は学び手として、とても楽になったからです。
以前は学びたいと思うテーマがあっても、1カ月先や2カ月先の外部セミナーの予定を固めることがなかなかできませんでした。それがオンラインになり、場合によっては録画内容を後から見返して学ぶこともできるようになったのです。
体感値として、私自身はコロナ前と比べて、学びのインプット量が爆発的に増えたと感じています。
次回のコラムでは、そんな私の「学び方」についても紹介させてください。
(安東邦彦)