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2021.02.16

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中小企業とSDGs(第1回) 〜SDGsで考える中小企業の存在意義〜

安東 邦彦

一般にも広く浸透しつつある「SDGs」 

企業を取り巻く環境は大きく変化している――。

といったことが、至る場面で叫ばれる昨今です。

少子高齢化で先細りする市場やデジタル化の波、働き方改革など、変化の要因はいくつも挙げられます。そうしたなかでも私は、「企業の存在意義の問われ方」が大きく変わってきているように感じています。

わかりやすい例が「SDGs」でしょう。

 「SDGs」(Sustainable Development Goals)は、国際社会が協働して地球規模で取り組むべき17の目標を掲げ、先進国を含む世界全体で2030年までの達成を目指すことが2015年9月の国連サミットで採択されました。

“地球規模”というと、大企業のフィールドだと感じるかもしれません。

しかし、SDGsは一つの「バズワード」(流行語)となり、その概念は広く一般にも浸透しつつあります。

コンビニエンスストアやスーパーの「レジ袋削減」も、ムーブメントの表れの一つだといえます。中小企業も、世の中における存在意義を真剣に定義しなければならない時代になっているのではないでしょうか。

SDGsを一つの題材として、中小企業が社会に貢献できることや、貢献することの意味を考えたいと思います。

かつての中小企業は「社会的意義」が明確だった

中小企業の存在意義といえば、昔は今よりもずっと明確だったように感じています。

中小企業の多くはもともと、大企業の一部として生まれました。下請けや販社など、さまざまな形で大企業の機能の一部を中小企業が担い、リスクを分散していました。

「大手メーカーの下請け」「大手生命保険会社の販売代理店」などはその代表例でしょう。「モーレツ」に働くことが称賛された背景には、企業の存在目的が明確だったこともあるのではないでしょうか。

実際に、ITが広がるまではそうした中小企業が多かったのです。大企業の大きな仕事の一部を担うことは中小企業にとって、言わずもがなの「社会的意義」を持てる理由となっていました。

「パパは国立競技場の建設にも関わったんだよ」

「あの道路を作るのに、うちの会社も協力したんだよ」

そんな会話が日常的にあったのは、1990年代半ばころまでだったでしょうか。

失われた20年を経て問い直されるようになった価値観

さらに振り返れば、日本が経済的に豊かになるまでは、パナソニック創業者である松下幸之助さんなどの伝説的経営者が、焼け野原から日本を復興させるために頑張ってきました。

しかし世界第2位の経済大国になってからの日本は、目標を見失っていたように思います。

一定の豊かさを手に入れて、バブル期には世界のトップ企業に日本の会社がたくさん名を連ねていました。一方で「自分たちは何をするべきか」という目的や目標は曖昧で、思いの込もっていない経済成長を続けていました。

日本企業は変化に対応する力が弱いと言われます。もしかするとそれは、自分たちが成し遂げるべき世界観を見失ってしまったこの時代に起因するのかもしれません。

そうしてむやみに稼ぎ続けようとした結果、バブルが崩壊しました。その後は、かつての目的意識を取り戻そうとするのではなく、いちばん豊かだったバブル期に戻ろうとしました。でも待っていたのは「失われた20年」でした。

今、SDGsが日本で注目され、企業の存在意義が問い直されるようになったのは、失われた20年を経たからこそであるとも言えます。

「自分たちは何のための豊かになりたいのか」

「自分たちにとっての豊かさとは何なのか」

この10年間で問い直されるようになった価値観です。こうした歴史の先に現在の中小企業は立っています。

では、中小企業にできることとは何なのか。次回の稿で考えてみたいと思います。

 

(安東邦彦)

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