経営者が覚悟を決めて社員を見つめる「3年間」 | 中小企業の経営コンサルティングならブレインマークス
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2019.08.15

コンサルティング

経営者が覚悟を決めて社員を見つめる「3年間」

安東 邦彦

 

 

強みを仕事に活かすまでには時間がかかる

組織の多様性を高めていくために、
経営者はどのようなマネジメントを心がけるべきなのか。

前回はその方法として、
「社員の強みと得意分野を見つけ、それを仕事にしてもらう」というやり方を
ご紹介しました。

この方法は実に理にかなっています。
会社としては社員に成果を出してもらえますし、
社員は得意なことを仕事にできるから、毎日楽しく働けます。

そうやって成果を積み重ねていくと、面白い変化も起こります。
人は、得意なことを伸ばしていくうちに、自然と他のことも伸びていくものなのです。

この方法はブレインマークスでも実践し続けています。

やるべきことはとてもシンプルなのですが、
実際のところ、誰かの強みや得意領域を見つけるのにはそれなりに時間がかかります。

ブレインマークスの場合は、1人の強みを発見して仕事にしてもらうまでに、
だいたい3年くらいはかかっているのではないでしょうか。

皆さんの参考になればと思い、いくつかの実例をご紹介したいと思います。

 

「こんなの普通じゃないんですか?」

ある女性メンバーは、「文章を書く」という仕事に才能を発揮して活躍してくれています。
(実はこの私のブログ原稿も、彼女がしっかり編集して送り出してくれています)。

一方で、彼女の苦手なことは入社当初からはっきりしていました。
数字を扱うのは超苦手で、社外の人と話すのもおっかなびっくり。
でも文章を書く仕事は楽しそうにこなしてくれます。
実際に見ても「いい文章を書くなぁ」と感心することが多々ありました。

そこで文章力を褒めてみたところ、
「えっ? こんなの普通じゃないんですか?」と言うのです。
驚く彼女の反応を見て、
自分自身の強みは自分では気づきにくいものなのだなと感じました。

しかし、いろいろな仕事を任せていく中で、
彼女は「みんなよりも文章を書くのが得意なんだ」ということに気づき、
意識してくれるようになりました。

文章を書くという仕事は、あくまでも仕事のアウトプットの一部分です。
そこへ行き着くためには、企画力や分析力も必要。
そうした力も同時に伸び続けていると感じます。

 

 

人の強みを大別する3つの方向性

一方で、社員の本当の強みを長らく見誤っていた苦い経験もあります。

その男性メンバーは、社内で「エクセル王子」という異名を取っています。
前職での経験を生かして精緻にタスク管理をし、
そのためのツールを組み立てて社内に展開してくれたことから、
そんなふうに呼ばれるようになりました。

そんな彼を見ていて、私が最も凄みを感じるのは「再現性」。

私が出したアイデアを具現化したり、仕組み化したりする仕事を、
ものすごい早さで実行してくれるのです。
ふと浮かんだアイデアや、いろいろと矢継ぎ早に打ち出す方策をシステム化してくれる。
その能力に大いに助けられています。

 

私は常々、人の能力は大きく
「創造性」「再現性」「実行性」の3つに分類できると考えてきました。
新しいやり方を考える創造性、それを人に任せられるようにする再現性、
そして実際に早くやり抜く実行性です。

どんな人にも、必ずいずれかの分野に当てはまる強みがあるもの。
だから私は人を見るときに、
「3つのうち、どの強みがあるのか」という視点をもつのですが……。

実は彼の場合、当初は「創造性」が強みだと思っていました。
日々のやり取りの中でも、実際にそんな期待を投げかけていました。

本人もそう信じて、私が出したアイデアに
さまざまなアレンジを加えようと努力してくれていました。
でも、本当の強みは再現性にあったわけです。
アイデアをどう料理してシステム化するか。
そのプロセスを委ねたときに、私は彼の凄みを知ったのです。

人の本当の強みを理解するのは簡単ではありません。
だからこそ私は「3年はかかるものだと覚悟して向かい合おう」と決意しています。

 

(安東邦彦)

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