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2018.10.18

コンサルティング

「自らで成長に制限をかけてしまう」社長の特徴

安東 邦彦

以前、あるセミナーでこんな事例を紹介しました。

「継続的に成長している企業は、成長過程のある段階で業務の基準を決め、
業務マニュアルの整備をしています」

それを聞いたある社長は
「マニュアルの重要性はわかるんだけど、うちは“ツーカーの仲”で経営したいんだよ」
と言いました。

その気持ちは、とてもよくわかります……。

しかし、それはとても難しいことでもあるのです。
ツーカーでお互いの仕事レベルや気持ちが分かり合える会社規模は、
どの程度までだと思いますか?

 

 

■社員と「ツーカーの仲」がいい

今回は、成長企業に求められる「業務の標準化」について考えてみたいと思います。

冒頭で紹介したやり取りは、
「持続的な成長のために必要な仕組みづくり」というタイトルで講演依頼を受けたときのものです。

そのセミナー内で、
「継続的に成長している企業が、成長のある段階で業務の基準を決め、
業務マニュアルの整備を開始している事例」をお伝えしたのです。

「でも俺は、ツーカーの仲で経営したいんだよなぁ」
「プロとして社員の個性を尊重したいんだよなぁ」

その社長の、正直な感想でした。

気持ちはとてもよく分かります!
その気持ちに異論はありません。

でも、ツーカーでお互いの仕事レベルや気持ちが分かり合える会社規模は、
どのくらいまででしょうか? 
せいぜい10人くらいまで? いや、もっといける?

さすがに100人程度の規模になると、ツーカーでまとめることはできないでしょう。

そう考えると、この社長の発言は、
「自らで会社の成長に制限をかけている」ことにならないでしょうか?

 

 

■忙しさによってサービス内容が変わってしまう整体院

私はある時期、腰痛で整体院に通っていました。

その整体院はスタッフが5名ほど。
私は院長先生に担当してもらっていました。

院長先生の施術はいつも丁寧で、いつも私のために1時間半ほどをかけてくれていたのです。

どんな状況になると腰痛が発生するのか。
痛みが出たときにはどの骨をどの位置に戻さなければならないか。
そんなことも詳しく説明してもらっていました。

そのうち、多忙な院長先生に代わって、別のスタッフに担当してもらう機会も出てきました。

その際の施術時間は1時間弱。そのうち20分は機械にかけられていました。
また、施術中の会話はほとんどありませんでした。

つまり、院長先生の忙しさによってサービス内容が変わるのです。
確かに腰痛は和らぐのですが、私はなんだかいつも不安でした。

治療に一貫性がなく、担当者によって施術内容や時間が変わります。
悪気がないのはわかりますが、このような営業実態は、
患者からすれば期待に応えてもらえていないように感じます。

しばらくして、私は通うのをやめてしまいました。

 

 

■顧客の求める会社を、顧客の求める方法で

こうした例は、整体院に限った話ではありません。

レストランでも同じ。
「あるときは丁寧な接客、あるときは雑な接客」という店に
通いたいという人はいないでしょう。

美容院でも、税理士事務所でも、歯科医院でも。
商品やサービスを標準化できなければ
顧客の期待を裏切ってしまうことにつながり、信頼は損なわれます。

誰が、いつ来ても、同じレベルのサービスを提供できる環境をつくらなければ、
会社として成長することはできないのです。

現場に張り付いてしまう職人社長は、
「自分のやりたい会社を自分のやりやすい方法で」つくります。

それに対して成功する経営者は、
「顧客の求める会社を顧客の求める方法で」つくるのです。

そのために必要なのが業務の標準化であり、
それを明文化したマニュアルです。
「ツーカー」に頼り続けていると、気付いた頃には
顧客が離れていってしまっているかもしれません。

あなたの会社はどちらの方向へ向かっているでしょうか。

(安東邦彦)

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