コンサルティング
私たちがクライアントから多く寄せられる相談の一つに、「今後の生き残りのために何をすべきでしょうか?」というものがあります。
「経営者である限り、自社の生き残りのために何をすべきか、常日頃から考えているのは当たり前じゃないか」。
そう思われる方も多いかもしれません。
しかし私たちは、この質問を受けるたびに「違和感」と「つらさ」を感じてしまうのです。その原因は、質問をなげかける社長の表情にあります。
今回はそんな、「社長の顔」にまつわるお話を――。
■「生き残り」を考える社長の、つらそうな顔
「あなたは、社長の仕事をしていますか?」
前回はそう問いかけつつ、多くの社長が日々の仕事に追われ、本当の意味で社長がやるべき仕事ができていない現状について問題提起をしました。
その問題をもうすこし掘り下げてみたいと思います。
冒頭でご紹介した、クライアントから多く寄せられる下記の相談。
「今後の生き残りのために何をすべきでしょうか?」
みなさんはこの質問に何を感じるでしょうか?
社員のため、既存のお客さまのために、事業を継続して生き残らなければならない。
そのために必死の努力を続けている……。
経営者であれば当然のことかもしれません。
でも、この質問を口にしている社長の表情は、何だか「とてもつらそう」なのです。
■最初はチャレンジ精神と将来の夢にあふれていたはずなのに
いつしか社長は、つらそうで険しい表情をするようになってしまったのです。
苦しさを耐え忍び、厳しい環境を乗り越え、苦労をいとわず頑張り続け、どうにかして事業を存続させる。
考えただけでも、息が詰まりそうです。
はたして、将来のこのような状況を思い描いて独立する人がいるでしょうか?
起業当時を振り返ってみてください。
・お金や時間に縛られる生活から自由になりたい!
・嫌な上司にこびることなく、自分で人生の舵取りをしたい!
・自分の才能や力を試してみたい!
・自分の才能や力を世の中に役立てたい!
最初は誰もが、チャレンジ精神と将来の夢にあふれていたはずです。
しかし、いつの日からか生き残りのことばかり考え始め、社長の表情はどんどん険しくなっていきました。
■社長にしかできない仕事とは
起業から成長に至るまでには、社長の語る夢が周りの社員に影響を与え、お客さまを惹きつけてきたはずです。どんな会社も、そうして事業を拡大しながら存続してきたはず。
自分を信じ、周りを巻き込むパワーにあふれていた社長だからこそ、会社を成長させることができたのです。
しかし「生き残り」を口にする社長は、いつの間にか「こなさなければならない仕事」と「目前の問題への対策」に追われています。
もしあなたが今、「生き残り」に心を奪われているなら、一呼吸おいてみて下さい。
「生き残り」でも「現状維持」でもない、「大きく広がった将来」について、もう一度考えてみてはいかがでしょう。
◎あなたの事業は何のために存在していますか?
◎そのサービスは誰のために存在していますか?
◎お客さまにはどうなって(どう感じて)ほしいですか?
将来像を描くことにコストはかかりません。
そしてそれは、「社長にしかできない仕事」です。
事業は、常にチャレンジを繰り返しながら成長するもの。
描いた将来を実現するために、新たなプロジェクトを立ち上げてみませんか?
あなたの事業が今よりももっと意義あるものになるはずです。
(安東邦彦)