苦しみ悩んだ末に「ビジョン経営」にたどりついた、ある社長の物語 | 中小企業の経営コンサルティングならブレインマークス
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2018.05.11

ブレインマークスとは

苦しみ悩んだ末に「ビジョン経営」にたどりついた、ある社長の物語

株式会社ブレインマークス

「強い組織をつくり、より良い会社にしていくためには、明確なビジョンが欠かせない」

 

多くのコンサルタントがそう指摘します。セミナーなどの場で何度となく同じことを聞いたという方も多いことでしょう。

 

ビジョンが必要だ」ということは、何となく誰もが認識していると思います。経営者であればなおのこと。しかし、「ビジョンがないことでどんな問題が生じるのか」ということについては、私たちは日頃あまり意識せずに過ごしているようにも感じるのです。

 

今回は「ビジョンなき会社」が実際に体験した苦労も紹介しながら、ビジョンが経営に与える影響を考えてみたいと思います。

 

 

■スタープレイヤーたちの「自信」が思わぬ方向へ……

 

株式会社Surpass(サーパス)は、2008年に創業した「女性スタッフによる営業アウトソーシングの会社」です。

 

社長の営業経験と知見を生かして独自のサービスメニューを開発。「自分と同じように営業が得意な人を集めればうまくいくはず」という自信とともに起業しました。

 

さまざまな業界でスタープレイヤーとして活躍していた営業経験者を集め、創業当初から、社長の思惑通り順調に事業を拡大していったといいます(ちなみに当時の社名は「Surpass Star」でした)。

 

しかし社長はいつしか、「自分がイメージしていた会社の姿からはかけ離れている」という違和感を覚えるようになっていきました。

 

もともとスタープレイヤーだった社員たちはそれぞれ、自分の実力に自信を持って営業活動を展開していきます。

 

ところが、その「自信」原因でクライアントと揉めてしまったり、社長の言うことを聞かずに独走してしまったりする事態を引き起こしていました。

 

社長がそのことを指摘しようとしても、言えば言うほど社員からは不平不満が返ってきます。気がついた時には、社内のまとまりは全くない状況になっていました。

 

そんな状況の中、創業から5年が経った頃、社長は、自分で立ち上げた会社だというのに「会社に行くのがイヤだ」と思うようになっていたそうです。

 

 

■経営者としての自負を捨て、自社のビジョンを真剣に考える

 

悩んだ社長は知人に現状を相談しました。

 

すると「あなたの会社にはビジョンがないからそんな状態になるんですよ」と言い放たれてしまったそうです。この時期、他にもさまざまな人から、ビジョンの重要性について語られました。

 

最初は素直に受け取れていなかった社長も、ついには自社のビジョンについて真剣に考える覚悟を決めたといいます。

 

「この会社は、何を目指していくべきなのか」

 

ビジョンについて真剣に考えていく中で、経営に対する考え方が明確になっていったと言います。同時に、「スターだけを集めても良い会社・良い組織にはならない」と感じるようになりました。

社長の思考の変化は、少しずつ会社にも伝わっていきました。そうした変化に反発し、社員が辞めていった社員も少なくありません。

 

月日を重ね、ビジョンがより明確になった頃、石原社長はあることに気がついたと言います。

「今まで自分が採用していた社員たちは、自分が作りたい会社、事業には合っていなかった…」。

 

■「ビジョンに共感する未経験者」を採用し、半年ですべての社員が入れ替わる

 

クライアントの営業支援を本気で進めていくために、自社に必要なのはどんな人なのか。それは「人が大好き」で、「お客さまのことを想って“黒子”に徹することができる人」。

 

そんな方針のもと、社長が新たに採用していった人のほとんどは、従来のスタープレイヤーではなく、新たなビジョンに共感を示してくれた営業未経験者でした。

結果、半年で社員はすべて入れ替わりました。

 

営業担当がスタープレイヤーから未経験者へと交代したわけですが、クライアントとの関係は離れるどころか以前よりも良好となり、強固になっていったそうです。

 

かつては、高い能力を持つ経験者でなければクライアントの役には立てないと考えていました。しかしそれは単なる思い込みだったのです。

 

本当に大切なのは、ビジョンを共有し、同じベクトルに向けて社員全員が歩んでいくこと。現在では社内の雰囲気もよく、社長も「仕事や日々の生活が楽しい」と話します。

 

 

■丸1日かけて行う「ビジョン会議」で想いを共有

 

ビジョンの重要性に気づいたSurpassでは、社長が熱く語りかけ、社員も同じように語り合うことで、大きな力を発揮する組織をつくっています。

 

その取り組みの一つが、ビジョンの浸透を図るための「ビジョン会議」。丸1日かけて行うこの会議を、定期的に開催しています。

 

実施メニューは大きく分けて3つ。

 

(1)社員による発表

各自の生い立ちや趣味を話したり、会社への提案内容をプレゼンしたりします。

 

(2)グループワーク

自社の「チームワークの定義」を一緒に考えたり、課題図書に対する感想をシェアしたり。

 

(3)社長のメッセージ

社長自身が熱い想いを伝え、起業から現在までのヒストリーなどを語ります。

 

こうした場を通じて、社員が自社のビジョンへの想いを深め、互いの意思共有をすることで、よりまとまりのある組織をつくっているのです。

 

社長が苦しみ、悩んだ末にたどりついた「ビジョン経営」の姿は、企業が目指すべき一つの理想形と言えるのではないでしょうか。

 

 

(前田沙織)

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