ブレインマークスとは
私たちはこれまで、多くの中小企業の成長を支援してきました。
今回は改めて「中小企業の可能性」について考えてみたいと思います。
そもそも、中小企業は大企業と何が違うのか。
法律上、その別は資本金の額や従業員の数を基準にして定められています。
しかし、それぞれの会社で働く人たちの実感は、
もっと肌で感じるもののはずです。
■中小企業ならではの特性とは
中小企業と比べて、
大企業のほうが恵まれていると考えられることはたくさんあります。
◎給料を含めた待遇が良い
◎雇用が安定している
◎優秀な人材が集まりやすい
◎社会的な信用度が高い などなど。
一般的な認識でいえば、上記の大企業を特長づける諸事情は、
相対的に中小企業では達成できていないということになります。
それは確かに現実としてあるでしょう。
しかしながら、仕事に付随する喜びや人生で優先すべきことは人それぞれで、
価値観の多様化は近年ますます顕著になっています。
また、どちらが有利不利ということだけでなく、それぞれに組織としての特性があるはずです。
例えば、中小企業は、大企業に比して仕事が細分化、専門化していません。
ときには自分の守備範囲を超えて、新たな分野にチャレンジをすることもあります。
これは、社員にとって貴重な経験になり、さらに自身の可能性を見つけるきっかけにも繋がります。
任せられる範囲も広く、個人に与えられる責任も大きくなりますが、その分仕事から得られる喜びの実感にも繋がりやすいのが中小企業の特長であり、魅力なのではないでしょうか。
■必ずしも「大手企業志向」が高いわけではない?
ちなみに、これから社会に出て働こうとしている若者は
どのように考えているのでしょうか。
下図は各種の就職・転職情報サービスを行なう株式会社マイナビが行なった
「大学生の就職意識」調査からの抜粋です。
企業志向、つまり「大手企業志向」か「中堅・中小企業志向」かを聞いています。
上図によると、大手企業志向と言える
「絶対に大手企業がよい」+「自分のやりたい仕事ができるならば大手企業がよい」は
約43%です。
一方、中堅・中小企業志向は
「やりがいのある仕事ならば…」+「中堅・中小企業がよい」は52%と過半数を占めています。
同調査を振り返ってみると、
大手企業志向は13年卒の学生が最も低く、
それから14年、15年卒で上昇傾向にあったものが、
16年卒では前年比2ポイント減に転じていました。
その理由としては
「就職活動スケジュールの後ろ倒しによる先行き不透明な状況を受けての
漠然とした不安感が影響している」と分析されています。
就職活動開始時期が以前より遅くなり、
例年通りの就職活動で内定を得ることができるのかが分からないので、
採用競争が厳しい大手企業にこだわらず、中堅・中小企業まで選択の幅を広げる。
そんな学生が増えているということなのかもしれません。
社会人となる第一歩の就職活動で
つまずきたくないという気持ちは十分に分かります。
だから学生が選択の幅を広げたというのも納得できます。
しかしながら、それだけでは決してこの現象を説明しきれないのではないでしょうか。
■大企業は安心……?
私たちはこれまでに、世界的な大企業が倒産する事態を何度も目撃しています。
日本における近年の大企業の倒産事例を見てみましょう。
日本航空などは記憶に新しいかもしれません。
現在は再上場を果たしていますが、
あの日本航空だって一度は倒産しているのです。
倒産から再上場に至る過程で、
1万6000人規模のリストラが行なわれたことを忘れてはなりません。
また近年では、シャープや東芝といった日本を代表する家電メーカーも
経営不振に陥りました。
かつての「大手企業故の特長」は薄れ、
そこで働く人々の混乱を、学生はしっかりと見ているのでしょう。
■「やりたい仕事ができる会社」がトップ
さらに同調査では、学生に対して「企業選択のポイント」、
つまり「どんな企業に就職したいか」を訊いています(下図)。
上図では、「自分のやりたい仕事ができる会社」が他に抜きんでてトップです。
これに続く答えは、
「やりたい仕事ができる会社であれば、大手や中堅・中小にこだわらない」
というものでしょう。
他の項目を見ても、
大企業にこだわる理由はなさそうに見えます。
むしろ、中小企業の特性をいかせば、
学生たちにとっても、より魅力的な会社になれるのかもしれません。
そして、経営者と社員の距離が近く、良くも悪くも会社全体が経営者の考え方の影響を受けやすいのも中小企業の特長です。
これらの特質をどう扱うかは経営者次第です。
あなたは中小企業の特質をどう捉え、どう活用しますか。