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今回のテーマは「理念を社員に伝えるのが怖い」です。先日、クライアントの方から「安東さんのYouTubeを見て、弊社でも経営理念やビジョンを作成してみました。かなり時間をかけ、自分としては納得感のあるものが完成しました。しかし、自分の納得感が高いからこそ“もし、拒絶されたら?”“良い反応がもらえなかったら?”と考えてしまい、社員に伝えられずにいます。安東さんはこのような経験はありますか?また、何か良い働きかけがあれば教えてください。」というご相談をいただきました。これは、誰もが通る道ではないでしょうか。一生懸命理念をつくったからこそ、社員の反応に対する不安が大きいのだと思います。でも、ぜひ一歩を踏み出したいですよね。
今回は、恐怖を感じる理由と、社員に理念を伝えるポイントについてお伝えします。
まず、相談者の方が恐怖を感じている理由は、2つあるのではないかと思います。
ひとつめは、「批判される恐怖」です。社員に批判されたり、「共感できません」と拒絶されたらどうしよう・・・と思うと怖くて、なかなか言い出せない状態です。
ふたつめは、「自分が揺らいでしまう恐怖」です。自分が一生懸命生み出したものを「くだらない」と言われたら、どうしても「自分がおかしいのかな」「世間に受け入れられないのかも」と自分の考えを信じられなくなり、怖くなってしまいますよね。
世の中には、ドリームクラッシャーがたくさんいます。実際に、私も「くだらない」「そんな次元か」など、ひどい言葉を何度もかけられてきました。そういう人に限って夢を持っていなかったりするのですが、言われた私は「自分はダメなのかな」と感じたりしていました。
そのような経験を経て、私自身が行き着いた答えは、「自分はこうするのだ」と覚悟を決めるしかない、ということです。自分の意志は、誰にも邪魔することができません。自分が信じたことをやり続けた人だけが、成功を手にするのです。
たとえば、本を出したいと思って出版社を回り、50社断られたけれど51社めで出版が決まったら大ベストセラーになった…なんていう話もありますよね。これも、あきらめずにやり続けたから最終的にうまくいった話です。
とはいえ、見知らぬ他人に断られるよりも、目の前の社員に拒絶される方がつらいですよね。理念を社員に受け入れてもらうには、どうすれば良いのでしょうか。
私は、「理念がうまく伝わるかどうか」は、「料理が美味しく見えるかどうか」によく似ているなあと思っています。例えば、ラーメン屋さん。“このラーメンは創業○年の歴史があります”“スープにはこんなこだわりがあって、野菜は○○さん特製です“と書かれていたら、「きっと美味しいのだろう」と思えてきませんか。
これは、つくるまでのプロセスや想いを余すことなく伝えているから。最後の完成品を見るだけではなく、途中のストーリーを事細かに知るから美味しく感じてくるのです。
理念の浸透も全く同じです。
なぜこの理念をつくったのか、なぜ必要なのか。この理念はどのようなプロセスで作成し、どのくらいの時間がかかったのか・・・。つくり手である経営者の想いをじっくりと伝えてみましょう。それを聞いて、批判をする社員はいないはずです。また、経営者側も、一度で伝わるとは考えず、時間をかけて何度も想いを伝えていくことが大切です。
理念は、経営者の想いが伝わって、初めて輝きます。
今回ご相談をくださった方も、ぜひ理念作成のプロセスや想いを共有してみてはいかがでしょうか。きっと、社員の皆さんは温かく迎えてくれるはずですよ。