あなたの会社はこんな風に考えていませんか?意思決定の遅滞を生む理由とは? | 中小企業の経営コンサルティングならブレインマークス
ブログ

ブログ

BLOG

2024.09.27

コンサルティング

あなたの会社はこんな風に考えていませんか?意思決定の遅滞を生む理由とは?

安東 邦彦

誰もが「意思決定」に望むこと

今回のブログは、経営における「意思決定のスピード」をテーマにしました。
言うまでもなく、企業の意思決定の遅速は、当該企業の命運を握る重要な要素になり得ます。

即断即決ができる企業と優柔不断な企業、どちらがチャンスをつかみ、成長を果たす可能性が高いかは明らかです。
しかしながら、適切な時期に適正な判断を下すことができない企業があるのも現実です。

意思決定のスピードに関してもう少しいうなら、これが鈍るとそれは明確な企業衰退のサインです。意思決定スピードの遅滞は、いわゆる「大企業病」の兆候として表れます。内部の人間がそれを感じだしたら危険水域です。

しかし、意識的に意思決定のスピードを遅くしている企業はないでしょう。問題は、そんなつもりはなくても意思決定に遅滞が生じているという状況です。しかも、それは各企業が意思決定を速めるためにやっている行動で、逆効果になっている可能性があるというのが重要なポイントです。

単一案より複数案

意思決定を速めるためにやっている方策が、実は逆に意思決定のスピードを遅らせていることがあります。例えば、多くの案を考えないほうが速い意思決定ができると思われていますが、実際は多くの代替案があるほうが意思決定は速いという点です。

比較する対象がなければ、今検討中の案のどこが良くて、どこがダメなのかを把握できません。良いと思っていてもどこかに見落としがあるかもしれませんし、ダメだと思っていても意外な視点が含まれている場合があります。

また、例えばたった1つの案を深く検討していると、それがダメとの認識になった時、もう1回最初から議論を始めなければなりません。でも、複数案があればその事態は避けられます。1つの案に時間を掛ければ掛けただけ、それを捨て去るのが惜しいと感じるのが人情です。

生み出した案に対して、心の底で感じる「怪しさ」にふたをしつつ、自ら泥船を漕ぎ出す事態になりかねません。

さらに、検討に必要な時間は、代替案の数に比例しないということです。つまり、案が多くあればそれだけ議論の時間が増えるわけではないのです。

その理由は上述の通りです。検討する案が複数あったほうが、実は意思決定のスピードが速まるだけでなく、ダメな案に拘泥するリスクも低減できるのです。

「1人で決める」と「1人だけで決める」

次に挙げた意外な要因は、経営者が1人で決めたほうが意思決定は速いと思われていますが、アドバイザー的な役割の人がいたほうが意思決定は速いという点です。

これは、組織に求められる「強いリーダーシップ」という課題と絡んできます。特に中小企業の場合、「成長も衰退も経営者次第」といわれるほど、経営者の力量がダイレクトに経営に影響します。

そうした中で強いリーダーシップが求められるのは当然ですが、それと意思決定のスピードは分けて考える必要があります。

ここで強調したいのは、「1人で決める」のと「1人だけで決める」の違いです。同じように聞こえるかもしれませんが、全く違います。

前者にはアドバイザーの意見を含めてというニュアンスが入っていますが、後者は完全に自分一人きりです。

経営者には、他の人にはない才能があるのは確かですが、この世の全てを知っているわけでも、経験しているわけでもありません。

もちろん、そのことは経営者本人も十分に認識しているでしょう。でも、時々、経営者という立場が、その事実を超えて決断するのが経営者だという危うい思考になってしまうことがあります。

そんな時にふさわしいアドバイザーが傍らにいたらどうでしょうか。

経営者が知らない情報を提供してくれますし、知識と経験から代替案さえ与えてくれることもあります。その結果、代替案の存在が意思決定を速める要因になることは既に見ました。

それに加え、アドバイザーの存在はある程度の正確さを与え、経営者の決断に自信を与えてくれます。

意思決定のスピードが生む大きなプラス

3つ目の要因は、大きな方針についての意思決定を優先すべきで、枝葉のことは後回しで良いという考えです。しかし実際は、大小さまざまな意思決定を関連させて検討したほうが、トータルの意思決定は速いと思われます。

例えば、大きな方針を決めて会社が一気に動き出したとしても、後になって小さな部品1つの仕様の不具合によって計画を大幅に見直さなければならないケースもあり得ます。

これは、既述した「1人で決める」と「1人だけで決める」の論点にも関連します。また、単一案か複数案か、反対意見の存在など、意思決定を遅らせる要因は相互に関係しています。

意思決定が遅い状況は、外部との競争に負ける可能性を高めるだけでなく、内部の社員のフラストレーションも高めます。

社員の「なぜなんだ!」という強いマイナスの思いは、業務の遂行をさらに遅滞させる事態を生みかねません。つまり、意思決定が遅いと二重のマイナスになるのです。

しかし、これは裏を返せば、意思決定のスピードが速い組織作りをすれば、それだけ外部との戦いは有利になり、内部のモチベーションを上げることができるということです。

経営における意思決定を加速させるために、今思い込んでいる「常識」を見直してみる価値は十分にあります。

(安東邦彦)

3ステップオンライン講座 無料公開中

この記事をシェアする

おすすめの記事