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今回のテーマは「配置転換を成功させるためのポイント」です。先日、クライアントの方から「なかなか成果が出ず、燻っている営業人材がいます。本人の為にも配置転換が必要だと思っていますが、ノウハウがなく不安です。ぜひ、安東さんの人材配置に対する考え方を教えてください」というご相談をいただきました。
このような事態は、どの会社にも起こります。適材適所は重要ですが、人材配置はセンシティブな問題なので、慎重に行なう必要がありますよね。
そこで今回は、配置転換や人材配置の肝について、私なりの意見をお伝えしていきます。
まず、今回ご相談いただいた方の素晴らしい点は、うまく成果が出せていない人材を見て、「彼に能力がない」ではなく、「会社側が彼をうまく活かせていないのだ」という視点を持っていらっしゃることです。
こういった視点を持てる経営者は、非常に少ないものです。
成果を上げない社員を見て、イライラしてしまう経営者もいるでしょう。しかし、燻っている人材の多くは、本人の問題というよりも環境の問題で実力を発揮できていないケースがほとんどです。
人には、必ず得意不得意があります。業務もやってみなければわかりませんし、何よりも社員自身が「適性は何なのか」をわかっていないというのも、よく見受けられます。配置のミスマッチを速やかに見つけ、その人材が活躍できる場所へ配置していくことが、私たち経営者の大切な仕事です。
色々な経営者を見ていると、「社員の強みにフォーカスしている」点が共通しています。社員本人からしたら普通のことだけれど、周りからしたら“すごい”と言われることに注目していくと、本当の強みを見つけやすいです。
例えば、ブレインマークスにはタスクを決めて、着実にやっていくことが得意な社員がいます。彼女は休日もチェックリストをつくるくらい、それをただ楽しんでいるだけだと言いますが、これこそが彼女の強みなのです。
「タスク管理」「タスク進捗」ができる。この特性を活かす配置を考え、マネジメントとマーケティングを任せたところ、めきめきと頭角を現すようになりました。
このように経営者が社員をしっかりと観察し、強みを見つけてあげることこそが、最適な配置転換をする大きなポイントといえるでしょう。
実際に配置転換する際、私がいつも意識しているポイントがあります。それは「スタートを実力よりも一段下に設定してあげる」ということです。
社員が強みを発揮できていないのは、実力よりも一段上の仕事をしてしまっているケースがほとんどです。決してできないわけではないのですが、色々なミスが重なってくると自信を喪失し、視野が狭くなってしまいがちです。
そうではなく、仕事のレベルを一段落として割り振ると、得意分野を活かして楽々クリアできます。すると「あ、できるんだ」の繰り返しで自信を取り戻し、自分本来の実力やポテンシャルを活かせるようになるのです。
「強みに仕事を乗せること」と「実力よりも一段下からスタートすること」。
この2点を大切にしていけば、組織の配置転換がうまく回り始めます。
限られた戦力の中で、社員の成長に対して苛立つのではなく、どういう人材配置をすれば最大限の成果を発揮できるかを模索する人間こそ、優れたリーダーであるといえるでしょう。
まずは、社員の方をじっくりと観察してみてはいかがでしょうか。
今まで見えていなかった強みを発見し、よりよい配置転換を見つけるヒントをつかめるはずですよ。