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2022.08.30

コンサルティング

実りある「1on1ミーティング」を実現するために必要なこと

安東 邦彦

1on1を成功させるために必要なことは?

今回のブログのテーマは「1on1ミーティング」です。

この手法は、上司が部下一人ひとりと向き合うことで、その能力が最大限に発揮されることを狙っています。さらには、部下が人知れず抱えている課題や悩みを早期に発見し、問題が大きくならないうちに対応できるチャンスも作り出すことができます。

部下一人ひとりの悩みとパフォーマンスは表裏一体の関係にあるため、これは非常に大切なことです。

部下にはそれぞれ悩みがあります。それは、自分の仕事の進め方かもしれませんし、同僚や上司との人間関係かもしれません。

一方、会社の経営には部下の成長が欠かせません。上司から言われたことを忠実に行なうだけの部下だと、自ら考えて仕事をする習慣がつきません。自分の課題に自分で向き合い、解決していく場が必要です。

そのため、部下の悩みや課題に早く気付き、自力で解決するサポートを行なうことで成長を促そうという考えのもと、有効な方法として注目されているのが1on1なのです。

実際に1on1を導入したいと考えている中小企業も少なくないはず。一見すると1on1の導入は簡単そうに思えますが、きちんと機能させるためには、実はいろいろなハードルがあります。

1on1を成功させるには何が必要なのか、以下で詳細に検討していきます。

1on1に求められる「経営幹部のコミットメント」

まず、1on1を有効に機能させるには何が必要なのかを考えてみましょう。

下図はビジネスコーチ株式会社が2017年に行なった「1on1ミーティング」についての調査結果からの抜粋です。成果を上げるために最も重要と考えることは何かについて、企業の人事担当者が複数回答で答えています。

上記調査では、1on1を成功させるには「上司側の1on1スキル」が必要だと考える人が57.7%と圧倒的多数を占めています。

あとで詳しく触れますが、確かに成果を上げるためには、上司の1on1スキルは極めて重要でしょう。これなくして1on1が成功することはあり得ません。

しかし、上司のスキルを論じる前にここで注目したいのは「経営幹部のコミットメント」です。

経営幹部のコミットメントとは、1on1を会社として制度化すること。1on1は重要ではあるものの急ぎの仕事ではないため、制度化しなければなかなか定着しづらいものなのです。

強制力によってコミュニケーションのきっかけを作る

実際に1on1を実施しようとすれば、定期的に30分から1時間程度の時間を上司と部下が割かなければなりません。

でも、日頃から多忙な現場ではどのように受け止められるでしょうか。「そんな時間を取るくらいなら、目の前の仕事を進めたい」。上司も部下も、こうした気持ちになってしまうのは仕方ありません。

そこで一案として、1on1の開催予定を事前に決めてしまうというのはいかがでしょうか。つまり、1on1を実施する日時を決めて、先にスケジュールに入れておくという対処法です。

仕事を円滑に進めるためには、社員間の適切なコミュニケーションが必要です。これを否定する人はまずいないでしょう。

しかし、その十分なコミュニケーションを会社の日常のなかで取るのは意外に難しいものです。仕事に追われると、なかなかその機会が持てません。

不足しがちなコミュニケーションを補おうと上司が部下を飲みに誘っても、断って帰ってしまう部下が増えているのが昨今の風潮。無理に誘うとパワハラになりかねません。

また、苦手意識を感じている上司と部下とでは、コミュニケーションが希薄になりがちです。

だからこそ、経営幹部のコミットメント、つまりは1on1を制度化することが重要なのです。制度化されていれば、従業員は行動せざるを得ません。良い意味での強制力をつくり出すことができ、否応なしにコミュニケーションのきっかけが生まれます。

誰のための1on1なのか

それでは次に、具体的に上司に要求される1on1スキルとはどのようなものかを見ていきます。

先ほどの調査結果では、1on1成功のための要素として過半数を占めていました。これは十分に検討する必要があるでしょう。

下図は同じく上記調査からの抜粋です。「1on1の質を高めるために最も重要だと思うコミュニケーションスキルは何か?」を聞いています。これも複数回答です。

上図で最も重要と認識されているスキルは「傾聴力」です。傾聴とは、「自分の耳を傾けて、熱心に相手の話を聴く」ことです。これが上司には難しいのです。

そもそも上司には権限があります。部下に命令して従わせ、時に部下の処遇を左右できる立場でもあります。

また、一般的に上司は部下よりも豊富な経験を有しています。部下が勇気を出して告白した悩みは、上司自身もかつて経験していたり、経験豊富な者から見ると取るに足りないものだったりするかもしれません。そのため、すぐに助言したり、叱ったりしがちです。

しかし、1on1を実りあるものにしようとするなら、途中で口をはさまずに、傾聴しなければなりません。なぜなら「1on1の主役は部下」だからです。

1on1は、上司が自分の有能さを部下に示す場ではありません。上司が部下の悩みや将来像に根気強く向き合う場です。その姿勢が、1on1の大前提である信頼関係を徐々に形づくっていくのです。

(安東邦彦)

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