コンサルティング
前回のブログでは、「顧客にお得感を持ってもらいながら自社も儲かる」事業を作るためには、自社の提供価値を高めて徹底的に省力化するしかないとお伝えしました。
今回は、自社の提供価値を高める道筋について、もう一段掘り下げて考えたいと思います。
私が顧客からの依頼を受けてコンサルティングの現場に入ったときには、まずは企業としての事業コンセプトを見るようにしています。
事業コンセプトが不明確で、独自性のないビジネスは、いくら頑張ってもうまくいかないからです。
独自性がないということは、いくらでも代わりがきくということ。必然的に単価は上がらず、適正価格を実現することもできません。
逆に言えば、適正価格を実現できる事業とは「代わりのきかないビジネス」であるということになります。
「うちにはこんな独自性があります」と胸を張って言える部分を作らない限り、延々と同じ状況が続いでしまうのです。
独自性のある、代わりのきかないビジネスを作る際のポイントは、「どんな企業であれば顧客がうれしいと感じるか」を考えることです。
私自身、ブレインマークスの事業を作っていく中で、「自分だったらどんなコンサルティング会社に頼みたいか」を考え、それを実現してきました。
ライバル企業も常にウォッチしています。それで「嫌な会社が出てきたなぁ」と感じることがあれば、自分自身もその事業を手がけるようにしています。
たとえば、人事制度に強い会社が出てきて脅威だと感じたら、ブレインマークスでも人事制度をメニューに加えるということです。
脅威だと思うなら自分たちもやる。そうすれば、今の自社では解決できない課題を解決できるようになるかもしれない。そんな思いで取り組んできました。
もちろん、すぐに新たなサービスを確立できるわけではありません。しっかりと顧客に価値提供できるようになるまで数年かかることもあります。だからこそ常にライバルをウォッチして、脅威を感じればすぐに準備を始める必要があるのです。
もし先駆者が失敗してしまうようなことがあれば、それも含めて自社のナレッジにできるはずです。
代わりのきかないビジネスを作れたとしても、それだけでは生き残れないかもしれません。独自の価値をどんどんアップデートしていけなければ、あっというまに消えてしまう可能性もあります。
競争戦略の権威であるマイケル・ポーター博士は、「企業の強みは独自性である」と指摘しました。しかし現在の経営学者は、ポーター博士の考えをベースに次のステップで踏み出すべきだと訴えています。
かつては、一度強みを作れば30年は持ったかもしれません。しかし今は、どんな強みもすぐに競合に真似されてしまいます。強みの賞味期限は10年、5年と短くなってしまっているのです。
そうした厳しい環境にさらされている中小企業だからこそ、独自の強みを連続で塗り替えていかなければなりません。
ブレインマークスのコンサルティングでは、代わりのきかない独自性を持つ事業を作り、その強みを進化させ続けていくための支援を行っています。この取り組みこそが、時代の変化に負けず、適正価格で勝負できる強い企業を作るために必要だと信じています。
(安東邦彦)
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