コンサルティング
昨今、経営やマネジメント、人事などの領域で、「パーパス」(Purpose)という言葉が盛んに聞かれるようになりました。
直訳すれば「目的」という意になるこの言葉。企業においては「社会における存在意義」の意味合いで使われることが多いようです。
自分たちは何のために存在し、活動しているのか。中小企業でもパーパスを見直したり、新たに策定したりして、事業の立て直しを図る動きが見られるようになりました。
国内では、ソニーグループなど大手企業で策定する動きが出始めたが、日本企業の99%を占める中小企業での導入例はまだ少ない。
(参考記事)御社もパーパスつくりませんか? 達人と挑戦してみた
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC101XF0Q1A011C2000000/
注釈:記事内にある動画をご参照ください
自社の存在意義を明確にすることが重要であるのは言うまでもありません。
ブレインマークスでは経営の6大課題の一つとして「組織が一つにまとまらない」ことを挙げています。この状態に陥ってしまう組織は、一丸となって目指すべき目的や存在意義を見失ってしまっているとも言えます。
▼経営の6大課題とは?
https://www.brain-marks.com/beginner
そこで今回はこのパーパスを掘り下げて考えてみたいと思います。中小企業にとって、パーパスはどんな意味を持っているのでしょうか。
パーパスについて語るにあたり、最初にお伝えしたいのは言葉の捉え方です。
経営論やマネジメント論などの分野では、定期的に「バズワード」と呼ばれる言葉が飛び交います。いわゆる流行語ですね。ここ数年でも心理的安全性やティール組織、1on1、DXなど、さまざまなバズワードが登場しました。
中小企業経営者の中には、パーパスという言葉を聞いて「また新たなバズワードが出てきたか」と感じている人もいるかもしれません。あるいは「理念やミッションと何が違うのか?」とも。
実際のところ、アメリカの多くの企業においてパーパスは「経営理念」として捉えられているようです。同じ意味で「ミッション」と位置づけている企業もあります。
つまり、結論を言ってしまえばパーパスも経営理念も同じ意味合いだと捉えてしまって問題ないでしょう。
改めて整理すると、
■会社が何のために存在しているのか……「パーパス」「理念」
■パーパス・理念の実現のために社員はどんな使命感を持つべきなのか……「ミッション」
■パーパス・理念・ミッションの実現に向け、いつまでに何をやるのか……「ビジョン」
■ビジョンを達成するためにどんなアクションを取るべきなのか……「行動指針」
上記のように落とし込むことができます。
ブレインマークスでも同様に、自社の存在意義を明確にしています。
私たちの理念は「ビジネスを通じて人を幸せにする」こと。そのために社員が持つべき使命感をミッションと置き、「中小企業の経営者の未来と中小企業の変革を応援すること」としています。この実現に向けて2025年までに目指す姿をビジョンとして伝え、必要な行動指針をコア・バリューとして定めています。
このように、何かにつけて言葉の持つインパクトが一人歩きしがちなパーパスですが、決して新しい概念ではありません。
同時にパーパス(理念)に基づいて自社の歩むべき道を考えていくことは、すべての企業において欠かせないプロセスでもあります。
パーパスという言葉によってこうした考え方が企業の間で重視されるようになってきたのは、とても良い変化だと言えるのかもしれませんね。
では、私たち中小企業経営者はパーパスをどのように位置づけ、どんな心構えで定めていくべきなのでしょうか。次回はこの点を詳しく掘り下げたいと思います。
(安東邦彦/第2回に続きます)