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今回は書籍「ティール組織」から、ティール組織の特徴と到達するまでのプロセスについて紹介します。
著者のフレデリック・ラルー氏は、2年半かけて世界中の組織を調査し、新しい組織モデル=ティール組織のあり方をこの本にまとめました。いまやティール組織に関する情報は多く出回っていますが、大企業向けの解説が多く、中小企業向けに書かれているものは少ないようです。
そこでティール組織について説明するとともに、中小企業はこの本をどう活用すればよいかについて、解説していきます。
ティール組織は、到達するまでの形態がわかりやすく、フレームワーク化されているのが特徴です。それぞれの形態をみていきましょう。
・第一形態 衝動型のレッド組織
社長の言うことが絶対であり、社長が組織を完全に支配している会社をレッド組織といいます。自らの利益のために社員を動かす「恐怖政治型」の企業は減りつつありますが、未だゼロではないようです。
・第二形態 順応型のアンバー組織
レッド組織から進化したのが、社員全体で成果を上げようとするアンバー組織です。アンバー組織の特徴は、規律が整っており意志命令系統もしっかりしています。
そのため、大きな組織が成果を上げるには、アンバー組織の形態が適しているでしょう。しかし上下関係が厳しく縦社会なので、風通しの良い社風を築きにくいのがデメリットです。
・第三形態 達成型のオレンジ組織
現在のグローバル企業に多いのが、オレンジ組織です。人材は経営資源であるという観点のもと、綿密な計画によって人が配置されており、目標達成に向けて全員が取り組みます。
ただし目標達成意識が強すぎるあまり、社内で人格を踏みにじるような瞬間があったり、過重労働で心身ともにダメージを受けたりする人が出てしまうことも。円滑な人間関係よりも、業務遂行に重点を置く傾向が見られます。
・第四形態 多元型のグリーン組織
オレンジ組織の反動で、個人の幸せやコミュニケーションを大事にしようと生まれたのが、グリーン組織です。グリーン組織では、リーダーは自分の組織に奉仕し、お互いの人間性を認め、尊重します。
ブレインマークスはグリーン組織を目指して取り組んでおり、今ではかなり近づいてきたと感じています。
ここで、今のブレインマークスだからこそ気づけたグリーン組織の良いところを一部紹介しましょう。
・社内の雰囲気が良い
・皆が平等で協力的である
・目標に向けて達成意識がある
などが、挙げられます。
今でこそグリーン組織に近づいたブレインマークスも、かつてはレッド組織に近い時期がありました。当時は現在のような良い社風ではなく、社員との距離もありましたし、経営者として孤独を感じていたものです。
グリーン組織は理想的だといえますが、ひとつ注意点があります。それは、グリーン組織をつくろうとし、トップダウンからボトムアップのマネジメントスタイルに転換することです。
社員の意見を尊重するボトムアップにすると、実力や権限、立場を越えて自分の意見を通そうとする社員が出てくることもあります。そのような事態を防ぐためには、オールトップ型のマネジメントスタイルがおすすめです。
ブレインマークスでも実行していますが、オールトップ型にすると、一人一人の社員にある程度の権限と役割が与えられるので、自分の権限を越えた発言はせず、自分の役割をまっとうすることに注力するはずです。グリーン型の組織運営を目指したい経営者は、是非覚えておいてください。
最後に、グリーン組織から進化して自己実現や自分の幸せを考え、誰にも管理されない状態にまでレベルアップしたのがティール組織です。
ティール組織では、社員全員がセルフマネジメントでき、組織が何のために存在しているのかを中心に考えながら、意思決定していきます。
ありのままの自分でリラックスしながら、常に組織の在り方を追求して大きな成果を上げていくのがティール組織の特徴です。ここまでくると、かなり高次元の組織といえるのではないでしょうか。
中小企業の経営者がこの本のエッセンスを取り入れるのであれば、まずは進化の過程のイメージをもち、どの組織を運営したいのか目標を定めると良いでしょう。
ブレインマークスは、これまでグリーン組織を目指して取り組んできました。たとえば目標や働く価値観を社員と共有する、会社のアイデンティティに賛同できる社員を採用するなど、やっていることはごくシンプルです。
中小企業の経営者がこの本のエッセンスを取り入れるならば、進化の過程のイメージをもち、どのカラーの組織を運営したいか、目標を定めてみてはいかがでしょうか。理想の組織像を描くために、きっとこの本が役に立つことでしょう。