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今回のテーマは「賃金交渉を社員からされたら?」です。最近「頼りにしている社員から賃金交渉を受けたが、他の社員の目もあり、応じるか否か迷っています」という相談を受けました。実は、私も過去に交渉を受けた経験があります。賃金交渉は応じても拒否してもお互い後味が悪くなるため、できれば避けたいものです。今回は、そもそも賃金交渉を起こさないようにする視点も合わせて、対応策をお伝えします。
■賃金交渉には基本的に「乗らない」
賃金交渉してきた社員が優秀な人材で将来の幹部候補ならば、退職されては困るので給与を上げたくなる気持ちはわかります。
しかし私自身の考えとしては、交渉に乗るのはおすすめできません。なぜならそのような特例を作ってしまうと、他の社員には言えない秘密を抱えることになり、経営者自身の心理的負担にもなってしまうからです。会社経営は、社内に不公平感のないクリーンな状態でなければうまくいきません。
■賃金交渉の対応にも役立つ「人事評価制度」とは
賃金交渉に悩んでいる経営者は、まず交渉された時に正々堂々と対応できる準備をしておくことをおすすめします。その際に有効な方法は、社員の給与が上がる道筋を明確にした「人事評価制度」を設けることです。
賃金交渉された際に、この人事評価制度があると「この業務ができるようになればこれだけ給与が上がるから、もっと頑張ろう!」と正論で返せます。また人事評価制度があることで、そもそも賃金交渉自体が起こりにくくなる効果もあるでしょう。
賃金交渉がしばしば起こる会社は、もしかしたら経営者に直談判するしか給与アップの方法がない状況に、社員を陥れているのかもしれません。突然給与の上げ下げがあったり、経営者に気に入られるしか給与が上がる方法がなかったりしたら、社員が賃金交渉したくなる気持ちもわからなくもないです。
ちなみに、ブレインマークスにも人事評価制度のガイドラインがあり、何をどうがんばったらどれだけ給与が上がるかを、社員全員が分かるようにしていますよ。
■給与を上げたい社員は成長と向き合うことが必要
正直、中小企業の経営者にとって人事評価制度を作り、昇給額まで明確にすることは、勇気と覚悟が必要だと思います。社員が昇給を目指してがんばってくれるのはありがたいものの、先の見えない経営の中でどんどん給与を上げていくことに対する不安もありますよね。
その点において、私自身が常に意識していることを2つお伝えします。
①社員の給与はできるだけ上げる
②売上全体に対する総人件費の割合を下げる方法を考える
経営者にとって、この2つは大きな課題となります。
社員の頑張りによって給与を上げたら、それ以上に売り上げにも貢献してもらわなければなりませんし、そのように努力してくれる社員は、一定数いるはずです。逆に楽をして給料アップだけを望む社員は、自身の成長と向き合えませんし、結果的に会社にも貢献できないため、退場を視野に入れる必要もあるでしょう。
私はこの2つの課題に挑み続けることが、健全な会社経営に繋がるのではないかと思います。
■今日の結論
もしあなたの会社に明確な給与アップの道筋がなければ、まずは人事評価制度を設けることをおすすめします。人事評価制度があれば、賃金交渉されても対応に悩むことはありませんし、交渉自体起こらなくなる可能性も高くなります。
賃金交渉の悩みを解決するだけでなく、社員の今後のキャリアを応援することにも繋がりますので、試しに作ってみてはいかがでしょうか。