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新型コロナウイルスは大卒生の就職活動にも大きな影響をおよぼしています。
就職情報サービス大手のリクルートキャリアが発表した「就職プロセス調査(2021年卒)」によると、2020年12月1日段階の就職内定率は93.4%(前年同月比−2.0%)。
卒業を間近に控えて内定が得られず、就職活動に苦戦している学生もまだまだ多いことが見てとれます。
一方では、コロナ禍でも好調を維持、あるいは何とかして持ちこたえながら、新たな新卒採用に乗り出す企業も現れています。
少子化の中で人材不足を慢性的な課題とする企業にとっては、一つのターニングポイントになるのかもしれません。
こうした流れに呼応するように、経済産業省は地域の魅力ある中堅・中小企業から「新卒採用継続企業」を発表して学生の就職活動を支援しています。
「新卒採用の経験が乏しい」「これまでに新卒採用をしたことがない」
そんな中小企業も多いかもしれませんが、こんなときだからこそ、優秀な若手人材と出会うチャンスだとも言えるのです。
思い返してみれば、私もかつては就活生でした。
時代はバブルの余波を受けて、就職は「超売り手市場」。自宅には企業からの採用PRのDMが山のように届き、私たち学生は選び放題でした。
ちなみに私の場合は、内定者時代に会社から接待を受けていました。内定辞退を防ぐために、まだ何の役にも立っていない学生を豪華温泉旅行へ連れて行くのです。
今では信じられない時代ですよね。
市況や社会情勢によって買い手市場の年代に当たってしまった学生は、本当に大変だと思います。バブル終焉と重なっていた私たちの世代でも、1年後になるとまるで状況は違いました。
一方で、私たちのようなバブル期採用の学生は、いろいろな場面で「使えない人材」だとレッテルを貼られていたように思います。接待を受けて、「俺たちは会社にとって欠かせない存在なんだ」と思い上がっていたフシもあったのかもしれません。
実はここ数年の学生を見ていて、私はかつてのバブル期のようなにおいがするようにも感じていました。
少子化の流れで人材不足が続き、売り手市場の傾向が続いていた就活市場では、「企業を選び放題」だと感じる学生は増えてもおかしくはありません。
1年上の先輩たちの姿を見ていた学生としては、「なぜ自分たちだけが割りを食わなければならないのか」と思うのも無理はないでしょう。
そんな状況だからこそ、採用活動に臨む企業としては、まずポジティブなメッセージを伝えていくべきだと思っています。
これまでもずっとそうでした。市況や社会情勢によって就活市場に影響が出て、買い手市場になってしまうタイミングは、数年〜10年に一度くらいのスパンで訪れています。
では、そうした時期に社会に出た人はみんな、その後もずっと不幸なのでしょうか? そうとは言い切れません。たくましく成長してキャリアを築いている人はたくさんいます。
一生の仕事を考えれば、就活はあくまでも小さな点に過ぎません。キャリアへの希望を見失うことなく、ポジティブに将来像を描いていってもらうために、採用面接で向き合う担当者の役割は重要だと考えています。
次回は、ブレインマークスの新卒採用の歩みについてもお伝えできればと思います。
(安東邦彦)