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今回のテーマは「社長は人格者じゃなければならないのか」についてです。
コンサルタント会社として、多くの企業をサポートさせて頂いていますが、この悩みを抱えているクライアントさんが多くいます。
多くの経営者は、勉強熱心でどういう経営をすれば、社員がついて来てくれるのか、会社としての売り上げを上げられるのかを考えていますが、
・社員がどんどん辞めてしまい、ついてこない
・社長は人格者であるべきだと聞いても、実際にどうしていいのかわからない
・自分自身は頑張っているのに業績が落ちている
といった悩みを抱えているのが現状です。
社長は人格者でなければならないのかということに関しては、永遠のテーマだと思っています。実際に私自身、すごく悩まされたことがありました。
弊社も次々と社員が離職し、次々とトラブルも増えていきました。そんな中、10年ぐらい前に社員が全員辞めてしまった経験があります。
何か、自分に原因があるんじゃないかと思い、素晴らしい経営者のお話を聞いたりする中で、皆が声を揃えてこう言いました。
「社長は社員の鏡であり、社長自身が人格者として成長していかなければならない」
「社長が成長した人格者になっていかないと会社も成長しない」
私も、人格者にならなくてはいけないと、そればかり考えていました。
例えば、社員に対して大らかな気持ちになっていたのか、という小さいところから。
しかし、実際に、どうすれば良い人格者になれるのかわからなかったんです。そこで、どうしたら人格者ではないながらに、会社を成長させられるかを考えるようになりました。
それから、私は自分なりに色んなことを頑張りました。その中で、人格を変えなくても、会社変えることができたのです。
10年前と今を比べても、私自身、人格者になったつもりはありません。
弊社のクライアントさんである中小企業経営者を含め、経営者は人格者でなければ、だめなんじゃないかと悩んでいる方が多いように感じます。実際に、私自身もそうやってずっと悩んでいました。
今その悩みを私自身は、今どう考えているかをお伝えしたいと思います。
4年前に、お客様からも社員からも愛されている、業績のいいアメリカの企業を見学し、アメリカで非常に有名なコンサルタントであるガーバーに話を聞くというツアーを組みました。
そのツアーの前日、1人の経営者が私にこう聞いてきました。
「社長って人格者じゃないとだめなのか、社員が入っては辞めるので疲れてしまった。性格的にも浮き沈みが激しく、社員から愛されている自信がない」
しかし、それ聞いた私は、何と答えていいのかわからなかったんです。一晩悩んでも答えがわからず、正直にわからないと伝えるしかありませんでした。
そして、次の日に、ガーバーさんにその質問をさせて頂く機会をいただいたきました。
その時のガーバーさんの言葉が今でも私の指針になっています。
「そんなことは気にしなくてもいい。
素晴らしい画家が素晴らしい人格者でしょうか。素晴らしい音楽家が素晴らしい人格者でしょうか。そういうわけではない。
あの人たちは、素晴らしい作品を残し、素晴らしい音楽を通じて、世界中の人や周りの人に対して感動と喜びを与え、人々の心に対して訴えかけている。その作品づくりに関して徹底的に取り組み、ストイックにやったことによって人を魅了してるんだ。
私たち、起業家も一緒で、あなたが本当に気にしなければならないことは、心から誇りをもって働ける会社をつくるにはどうしたらいいのか、お客様が熱狂して会社のファンになってもらうためにはどうしたらいいのかということ。
あなたは会社という作品を通じて世の中に感動を与えなければならないんだ。
あなたは、その誰をも感動させる作品づくりに没頭しなさい。
誇りがもてて自慢できる会社をつくる技術を身につければ、あなたはきっと素晴らしい経営者だと言われる。」
私は、聞きながら本当にその通りだと思い、腑に落ちたような気がしました。
社員が魅了されてお客様が魅了されて世の中に役立つような事業をやるために、朝から晩まで考えていたかを10年前の自分に問いただしました。
その時に、とにかく売り上げのことばかりを考えていたと感じたんです。
ガーバーさんの言葉を聞いてからは、
「会社づくり=作品づくり」
「社員やお客様に愛されるべき会社をつくる努力をすることが人格を磨くことにつながる」
そういうふうに考えるようになり、人格者であるべきということはあまり気にならなくなったんです。僕らは芸術家であり音楽家であると思うと、自分の立ち位置が明確になります。
・経営者が一生懸命努力をしている
・経営者が大事だと思っていることを伝える
これらを共有できる社員が周りにいるシステムをつくるのです。
そういうふうに考える社長のもとなら、社員は必然的に付いていこうと思うわけです。
だって、元々の経営力はあるのだから。
色んな現場で経営者見ていて、経営者の全員が人格者だと感じるかというと、実はそうではないことに気がつきました。皆がそれぞれ個性的な愛すべき経営者です。
能力を六角形で表すと、すごくいびつです。突出している部分がある代わりに、ここが足りないという風変わりな愛すべき経営者が多いのが、中小企業の社長ではないかと感じました。
完璧な人などいないのです。
そう考えることで、経営者の今まで人格者であるべきだと囚われていた気持ちは晴れるんじゃないかと思っています。
経営者は人格者じゃなくてもいいのです。
自分自身が思っていることを社員に共有しながら、努力をした結果、人格が磨かれると思っています。私たちがつくる作品を通じて、社会に影響力を与えられる経営者を目指すことが大切なのです。
社員を理解し、恵まれた社員と共に、少しずつ人格者になれるように努力していけばいいのです。