日本中の社長と会っていて、最近よく思うことがあります。
それは、「成長したければ社長は働いてはいけない」ということ。
事業のために社長が働くのではなく、
「事業を働かせる仕組みを作ることが本来の社長の仕事」であると思うのです。
■「利己的な社長になる」のではなく……
前回の私のブログでは、「社長の仕事」という観点で
会社の将来像を描くことの重要性についてご紹介しました。
今回も引き続き、このテーマをさらに深く掘り下げてみたいと思います。
冒頭で書いたように私は、
会社を成長させたいと思うなら
「社長が働いてはいけない」と考えています。
「社長が働かなければ、誰が働くのか?」
「社員にばかり働かせて、自分は楽をしろということ?」
そんな疑問が湧いてくるかもしれませんね。
私が言いたいのは、「自分のことだけを考える利己的な社長になれ」ということではありません。
事業のために社長が働くのではなく、
「事業を働かせる仕組みを作ることが本来の社長の仕事」であると言いたいのです。
■成功者の言葉を鵜呑みにしてはいけない
高度成長期には、頑張れば頑張った分だけ、
豊かに、幸せになることができました。
私はその時代を生き抜いてきた成功者から、
「会社を立ち上げてからの数年は寝る間もないくらい働いたものだ」という台詞を
幾度となく聞いています。
会社を立ち上げたばかりの私は、
「そうか、経営者はみんなそれくらい努力をしているんだ。甘えたことは言っていられない」
と奮起し、朝から晩まで働いてきました。
「もう少し頑張れば、楽になる」
「ここを乗り越えれば楽になる」
そう自分に言い聞かせて、身を粉にして働き続けました。
ところが10年が過ぎても、ちっとも楽にはなっていませんでした。
そして気付いたのです。
「もう少し頑張れば楽になる、ここを乗り切れば大丈夫」と、
何かの呪文のように毎年同じことを言っている自分がいました。
■「立ち止まる」ことの重要性
私は、これまで十数年にわたり、
売り上げ拡大を支援するコンサルタントとして、
自らも中小企業を経営しながら、500社以上の会社の経営者を支援してきました。
その中で多くの中小企業経営者の悲鳴を聞いてきました。
一見、業績が伸びている会社であっても、
経営者は自ら病気になるほど働いている上に、
悩みだらけで、トラブルにまみれており、プライベートはボロボロなのです。
そして、多くの社長がその泥沼から抜け出す術も知らないのが現実です。
だからこそ、声を大にして言いたい。
成長したければ、社長は働いてはいけない!
勇気を持って立ち止まり、事業を働かせる方法を学ばなければならない!
次回は、この思いの背景をもう少し詳しく説明させてください。
(安東邦彦)