若かりし頃の衝撃的な写真もあってか、たくさんの反響をいただいている「安東の経営者ヒストリー」。前回は、27歳で会社を乗っ取られてしまうまでのエピソードをご紹介しました。長い暗闇から抜け出したきっかけは、何だったのでしょうか?
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苦労して成長させた通販会社を乗っ取られ、アパートに引きこもっていた27歳の安東。そこへ1本の電話がかかってきました。相手は通販の代理店を引き受けてくれていた会社の社長でした。
「今の会社をたたんでIT会社を始めたい。一緒にやらないか」
「IP電話」を広げる事業を始めようという誘いでした。今で言うところの、「Skype」のようなサービスです。その当時、安東はパソコンをほとんど使えませんでした。インターネットという言葉もまだ浸透していない、1997年のことです。
事業プレゼンを聞かせてもらい、営業部長という椅子も用意してもらいました。しかし、なかなか踏ん切りが付かずに3カ月が経過。一時は故郷の大阪に帰ることも考えましたが、今後伸びるビジネスを探して、「ネット通販の会社を自分でもう一度立ち上げよう」と決意したのです。
しかし、安東にはネットの知識がありません。経験を積むためにIT業界での就職を目指したが、ことごとく書類選考で落とされてしまいました。知り合いのツテを頼ってようやく面接してもらった企業も、採用枠がいっぱいでNG。
ぜひ入社したいと考えていたその会社は、ITプロトコルの技術を使った通信会社でした。奇しくも、営業部長の椅子を用意してくれたあの社長と同業だったのです。
紆余曲折を経て、結局安東はその社長のもとへ行きました。知見のない業界での再スタート。明るい未来が見えていたわけではありませんが、とにもかくにも、新しい道を歩き始めたのです。