YouTube
今回のテーマは「社員の行動を変えるには、“モチベ”よりも“仕掛け”が大事」です。
先日、クライアントの方から「社員のモチベーション」についてご相談がありました。
「数ヶ月前、経営方針発表会で初めてビジョンを発表しました。その時は社員全員がビジョンに賛同してくれて大盛り上がりでした。しかし…数ヶ月経った今、あの盛り上がりは嘘のように日常に戻ってしまいました。どうしたら社員に高いモチベーションを維持してもらえるのでしょうか」
ご相談いただきありがとうございます。経営方針発表会を実施し、そこで社員がビジョンに賛同してくれた…とても嬉しいですよね。その雰囲気を見て、このまま会社が変化するのではないか…という期待もお持ちになっていたかと思います。その分、日常の変化の無さにがっくりしてしまう気持ちもとてもよくわかります。
弊社でも社員のモチベーションを下げないためにはどうしたら良いのかを試行錯誤してきた結果、少しずつその方法が見えきました。そこで今回は、どうしたら「社員のモチベーションが維持できるか」についてお話します。
常に高いモチベーションを維持することが理想ではありますが、そもそもモチベーションは流動的なので、上がることもあれば下がることもあるということを理解しておいて下さい。
ご相談いただいた例でいうと、経営方針発表会という非日常の場、全員でこの目標に向かって頑張ろうという状態は、アドレナリンも出ますし一次的に皆で盛り上がるのは当然かもしれません。
しかし、日常の業務の中でお客さんからクレームを受けたり、仕事でミスしたり、忙しくてパニックになるなどで、モチベーションは簡単に下がってしまいます。私も何度も経験していますが、「モチベーション高く働いています!」と言っていた社員が、翌月にはネガティブになっている…ということはよくあります。
モチベーションは外部環境の影響も受けやすいですし、仕事以外の本人の状態も影響します。だからこそ、まずは社員のモチベーションに変化があることはある程度仕方ない、ということを経営者が理解し、その上で社員のモチベーションが下がり切る前に働きかける必要があるのです。
だからといって経営者が一人ひとりに声掛けをしてモチベーションを高めるのは無理がありますよね。そもそも忙しくて社員のモチベーション状態に気づいてあげられないこともあるかと思います。
そこで推奨したいのは、「日常の中で社員がモチベーションを高めることができるきっかけ」をたくさんつくることです。
例えば、今回ご相談いただいた経営方針発表会後の社員さんのモチベーション低下ですが、これは日常の中にビジョンに対するモチベーションを再上昇させるきっかけがないことが問題なのではないかと思うのです。
経営方針発表会を実施した後から、少しずつモチベーションは下がっていくということを念頭に置き、各所でモチベーションが上がるように仕掛けを設計していくことが大切です。
では具体的にどのようなことをすれば社員のモチベーションを維持することができるのでしょうか。
弊社で実施しているのは、ビジョン実現に向けた月次の報告会です。「経営方針発表会」で発表した一年ビジョンに向けて、各部署が目標を立て、その進捗・達成度を毎月の会議で発表し合います。ここで大切にしているのは、この会議を未達の状況を責める場ではなく、承認の場として活用するということです。
「1ヶ月間こんなことやっていたんですね!」
「遅くまで頑張っていましたよね!」
ビジョン実現のために頑張って一歩でも進んだことを仲間同士で承認する。こうした場が毎月繰り返されることで、社員は「この会議で発表できるように頑張ろう!」とモチベーションを維持することができますし、毎月ビジョンを意識して仕事に取り組むことができます。
このように日常の中にビジョンを意識してモチベーションが上がるようなきっかけを散りばめていくことで、「ビジョンに向かって一致団結する組織」は出来上がっていくと私は考えています。
社員に高いモチベーションで働いて欲しいというのは、経営者であれば誰しも思うことです。しかし、モチベーションというのは外的要因や心の状態で常に上下するものです。そしてそれを経営者が常に監視するのは非常に困難だと言えるでしょう。
だからこそ、社員のモチベーションが上がるような仕掛けを社内に設計することが大切です。定期的に承認してもらえる場があれば、社員もモチベーションを維持したまま仕事に取り組めるのではないでしょうか。こうした仕掛けの設定は経営者の重要な仕事です。ぜひ、モチベーションが持続するような仕掛けを設計してみてください。