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今回のテーマは「社員の“副業”、経営者はどう向き合う?」です。
先日、クライアントの方から社員の副業について相談がありました。
「弊社では社員に“経済的に豊かになって欲しい” “やりたいことを応援したい”との思いから副業を許可しています。しかし、最近副業の方を優先し、本業のクオリティが下がる社員が出てきました。社員のやりたいことは応援したいのですが、このままでは困ります…。どうしたらよいでしょうか」
ご相談いただきありがとうございます。こうした質問を聞くと時代だな~と感じますね。最近では大企業も副業を容認したというニュースもありましたから、ご相談いただいた方のように、自社はどうすべきか? と考えている方も多いのではないでしょうか。
弊社でもこうした働き方の変化に対しては模索している状況で「これが正解」ではないかもしれませんが、私なりの考えをお伝え出来ればと思います。
まず始めに、弊社の副業に対するスタンスをお伝えします。結論から言うと弊社では副業は禁止です。その理由は、「自社での成果」にコミットして欲しいと考えているからです。
私は会社が掲げる理念やビジョンに向かって全員で一致団結したい、顧客に最大の価値を提供したいという思いを持っていますし、そういった思いに共感してくれている人を採用しているつもりです。だからこそ、社員には自社での成果にコミットして欲しいと思うのです。
中には「副業が自身のスキルアップにもつながって…」という人もいますが、平日は仕事、土日は副業となると心身とも完全には休まらないでしょう。そのような状況の中で、本業と副業のバランスを取ろうとする…そうすればおのずと本業にかける集中力は薄まっていかざるを得ないでしょう。
実際に弊社の中途スタッフの中にも、副業をしたいと話してきた人はいましたが、こうした思いからお断りさせていただきました。
それに、極端な話、社長は副業していないのに他の社員は全員副業しているとなったら、会社の未来に一生懸命なのは社長だけということになり、寂しい気持ちになりませんか?
ただ、副業を禁止するということは社員の人生をまるごと預かる責任が発生するということは頭に留めなくてはなりません。
大企業が副業を解禁している背景には、「これ以上給料を上げられないから自分で稼いでね」という思惑もあるのではないかと感じています。言い換えると、従業員の面倒を丸ごとみる責任を放棄したと考えることもできるのです。
副業禁止=社員のキャリアに責任をもつ、すなわち業績を上げる覚悟が必要です。「この会社に集中したい」「この会社だったら私は全力で働ける」と社員に思ってもらえる環境をつくることが、副業を禁止する経営者に発生する責任だと言えるでしょう。
例えば、社員が十分に生活できる給与を支給するのはもちろん、将来的に豊かになれるような福利厚生の充実、社員が成長できる制度設計を整える。今すぐには無理でも「こうした制度を整えようと思っている」と社員に共有しながら実現に向かうことが大切です。
いずれは「副業してもいいよ」と社員に伝えても、「この会社だけで十分です」といってもらえたら嬉しいですね。
その上で、副業を解禁したいという方に対してお伝えしたいことは2つです。
1つ目は、副業を解禁するなら「副業のルールを決めて社員に共有する」こと。副業を解禁するにしても、ルールや決まりごとが無い状態では、トラブルを招きかねません。経営者が「これだけは守って欲しい」「これができなければ副業は止めてもらう」という約束ごとを文書化しましょう。
2つ目は、副業解禁という社会の動きに流されるのではなく、経営者自身がつくりたい会社をもう一度考えて欲しいのです。例えば、一体感がある会社を社員と共につくっていきたのであれば、社員に「そうしたい!」と思ってもらえるような環境をつくる覚悟が必要です。反対に、副業など働き方が自由に会社をつくるなら、そのリスクを踏まえた上でルールを設けて副業可能な組織をつくりましょう。
どちらにしても、最後は”経営者がどんな会社をつくりたいか”がポイントになると思います。
働き方が多様化する時代ですから副業を解禁するべきか迷っている方は多いのではないかと思います。大切なのは、「何となく大企業がやっているから」という理由で副業を解禁するのではなく、経営者がつくりたい会社を明確にし、その上で覚悟を決めて実行することです。目指したい組織が明確であれば、時代の変化に流されることなく理想の実現に向けて進んでいけると思います。