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今回のテーマは「なぜ仕事を減らしているのに忙しさが解消されないのか」です。
先日クライアントの方から「訪問介護の会社を経営しています。スタッフに無理をさせないよう、1日あたりの訪問件数を業界平均よりも少なくしていますが、スタッフからは“仕事が忙しい”“パンク寸前”という声が聞こえてきます。私からすると、他よりも訪問件数が少ないのに、なぜ忙しいのかとても不思議です。これは私がスタッフに求めすぎなのでしょうか?」というご相談をいただきました。
これを「働き方改革」「ワークライフバランス」の課題と捉えてみると、現代の中小企業経営者が本気で取り組むべきことといえるでしょう。
今回は「生産性を上げる」という視点から、解決の糸口を見つけていきます。
日本の生産性は、アメリカと比較すると1/2であると言われています。日本独自の「勤勉」という美徳から、頑張って長く働こうとしてしまうんですよね。もし、この30年間、日本人が「短い時間でより高い生産性を上げよう」というチャレンジを毎年繰り返していたら、もっと生産性と成果が上がっていたでしょう。
これから私たちは、「長い時間働く」から、「短い時間でより高い成果を上げる」という方向へ、苦労の仕方を変えていかなくてはいけません。そのために何ができるのか・・・。この1年、私はアンテナを張ってきました。
その中で見えてきたのは、「人は実力以上の仕事をやった瞬間に、すべてが崩壊する」ということでした。もちろんチャレンジは大事ですが、その人の実力の「少しだけ上」のレベルに挑戦させてあげないと、元々できていたこともできなくなり、業務が崩壊してしまいます。
高い成果を上げるために、こういったところをコントロールしていくのも、一種のマネジメント力だといえるでしょう。
現在、ブレインマークスでは、社員みんなでセルフマネジメントに取り組んでいます。
月末の時点で翌月1ヶ月のタスクとスケジュールを全て洗い出し、どうすれば時間内におさまるか設計していきます。それを翌月実行してみて、「できているかどうか」「何が課題なのか」を改めて振り返り、翌月の設計に活かしていくのです。
その結果、残業に対する成果があまり高くないとわかり、「朝一番に頭を使う仕事を持ってくる」など、思い切って仕事のやり方を変えた社員もいます。
「仕事の生産性を上げろ!」と言われても、各々忙しいし、一体どうすれば良いのかわからないですよね。でも、自分で目標を立て、達成できているか振り返り、できていたらチームメンバーで「良かったね」「やったね」と称賛し合える。このような文化があったとしたらどうでしょうか。相乗効果を体感できれば、一人ひとりのレベルは上がり、みんなが引き上げ合うので全体の生産性がどんどん向上していきます。
今回ご相談いただいた方の例でいうと、訪問介護にも重度と軽度がありますよね。実力が見合っていない新人社員が、重度の患者さんの介護を多く担当している場合、精神的に余裕がなくなっていることも考えられます。まずはその気持ちをほどいてあげないと、社員の忙しさはなくならないでしょう。この場合、リーダーがその人の実力を見極めて、適切な人材配置を行ない、チームで最大の成果を出せるようにしていくことが求められます。
生産性を上げようと思って、上げられる社員はなかなかいません。だからこそ、生産性を上げるためのセルフマネジメントと、それを浸透させる教育をしっかりとやっていくことが必要です。まずは社員の実力を上げていくためにどのような教育ができるのか、じっくり考えてみてはいかがでしょうか。きっと社員のレベルが少しずつ上がり、会社全体の生産性向上につながっていきますよ。