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今回のテーマは「社員の視座を上げるには?」です。
先日、弊社のYouTubeをご覧いただいた経営者の方から”社員の視座”についてご相談をいただきました。
「ブレインマークスさんに倣い、先日から1on1ミーティングを始めました。その中で、社員に「何のために仕事をしているのか」と質問してみたところ、大半の社員から『生活やお金のため』という答えが返ってきたのです。
私は『人や社会に貢献したい』という考えで働いてくれていると思っていたので、自分と社員の考えの差にショックを受けています。私としては視座の低さが原因だと思うのですが、社員の視座はどうすれば高まるのでしょうか」
社員から「お金のために働いている」と言われたら、経営者はショックですよね。しかし、最初から「人や社会に貢献するため」という姿勢で働ける人は、ほぼいないのが現実ではないでしょうか。
そこで今回は、社員の視座を高めたいと思った際に、経営者に意識してほしいポイントについてお伝えします。視座を高める取り組みの第一歩目として、お役立ていただければ幸いです。
先述の通り、最初から「人のために働きたい」と考えられる人は多くありません。とはいえ、たとえ生活のためであっても、仕事に意味を感じられなければ次第にモチベーションは下がり、気持ちも荒んでしまいます。
経済的な豊かさだけではなく、心の豊かさも得る。そのためにはやはり「人の役に立っている」と実感できるような仕事や、そこに喜びを見いだせる価値観が不可欠なのです。
社員の視座を高めるには、この「人の役に立つ仕事は、自分の人生も豊かにする」という価値観を、経営者がしっかりと社員に伝えていく必要があります。そして、ここで重要なのは「伝えられた価値観を社員が自分のものにするには、時間がかかる」ということです。
たとえば新卒社員なら、イメージが湧くのに1年、体現できるまでに5年、マネジャーやリーダーとして活躍できるまでに10年程度の時間がかかるでしょう。また、一概には言えませんが、社員の年齢層が高くなるほど、価値観の体得にかかる時間も長くなる傾向があるように思います。
つまり、社員の視座を高めるには、5~10年単位の長期的な教育が必要だということですね。そして、時間をかけた教育を行うためには当然、社員に長く働いてもらえるような環境を作る必要があります。
社員が長く働いてくれる会社の条件には、たとえば次のようなものが挙げられるでしょう。
・十分な給与が支払われる
・有給をきちんと取得できる
・ワークライフバランスが取れる
・仕事の意味や、やりがいを実感できる
高給ではなくとも、一定の生活水準を保てる給与を提供すること。残業代をきちんと払うこと、残業そのものを減らすこと。事業の目的や価値を社員に理解してもらうこと、成長がきちんと評価される仕組みを作ること……
こうした良好な労働環境づくりに取り組むことは、経営者が「視座の高い仕事」を体現し、社員に示すことにも繋がりますね。
そして、社員に長く働いてもらうためには、上記のような処遇面の改善だけでなく、会社を「安心して働ける場所」にする取り組みも必要です。
社員に安心して働いてもらうためには、社内の人間関係が安定するよう、経営者が十分に気を配ることが求められるでしょう。そしてもう一つ重要なのが、「社員の良し悪しを一方的にジャッジしない」ことです。
この視点から申し上げるなら、ご相談者の方が初回の1on1で「何のために働いているのか」と質問したのは、あまり良いことではなかったかも知れません。このように社員を試すような言動をとると、社員にとって1on1が「恐怖を感じる場」になってしまうからです。
1on1ミーティングの目的は、「社員のありのままを認めて安心してもらうこと」や「成長を妨げているものがあれば、それを取り除くサポートをすること」にあります。言うなれば、社員をケアする場だということですね。
時には踏み込んだ問いが必要になる場面もあるかも知れませんが、1on1はあくまでも社員と向き合うための場所です。まずは安心して本音を話してもらえるよう心を砕くことが、働きながらゆっくりと視座を高めていってもらうことに繋がるのではないでしょうか。
5~10年単位の長期的な目線で、経営者の意図を伝えていく。そして、社員が安心して長く働きながら、経営者と同じ目線を体得していけるような環境を作る。
社員の視座を高めるための取り組みは、どれも時間がかかるものばかりです。しかし、真剣に取り組めば必ず、貴社にとって大きな価値を生み出すでしょう。
こうした取り組みについては、弊社もまだまだチャレンジの最中です。会社の、そして社員の方々の未来のために、みなさんもぜひご一緒に挑戦していただければと思います。