ブログ

今回のテーマは「組織化とはそもそも何なのか？」です。

先日、従業員25名の保険代理業を営んでおられるクライアントから、組織化に関するご相談をいただきました。

「人が増えれば増えるほど、個人事業主の集合体のようになってしまい、組織がバラバラとしています。『みんなで頑張ろう』『全社一丸』と声をかけてみても、なかなかまとまりません。組織の鼓舞に手を尽くしても社長の思いが伝わらない、伝わっても行動しない…途方に暮れてしまいます。なにか、組織化のヒントはないでしょうか」

組織が一向にまとまらず、社長の声かけも響かない…ご心労も大きいことと思います。保険代理業はその性質上、どうしても個人主義に偏りやすい事情があることから、こうしたお悩みがことさら起こりやすい傾向にあるようです。

しかし、「組織がまとまらない」という課題自体は、業種に関わらず生じます。そこで今回は、会社の成長に組織化が必要な理由や、組織をまとめるための考え方など、あらゆる業種に共通する組織化のヒントについてお伝えします。

■そもそも「組織化」とは？

組織化とは、簡単にいえば「社員一人ひとりが会社の向かう方向を理解し、目指すべき目標や成果を共有して、その実現のために役割と責任を全うする」ということです。一人ひとりがバラバラの方向へ動くのではなく、全員が会社の目的という共通のゴールに向かって動けていれば、組織化できているということですね。

この前提を踏まえたうえで、組織化の重要性について考えてみましょう

■会社の成長には、組織化が不可欠

まず、事業の拡大には、大きく分けて2つの要素が必須となります。1つ目は顧客からの「需要」に関する要素、2つ目は需要に対する「供給」に関する要素です。

「需要」のサイドでは、「どんなお客様の、どんなニーズに、どんな価値を、どのようなアプローチで提供するか」を追求します。自社ならではの価値を誰に対してどのように提供するかという、”戦略”を構築するフェーズだといえますね。

これに対して「供給」サイドでは、戦略を”実践”に移します。お客様にしっかりと寄り添えているか、質問への回答や必要なサポートをきちんと届けられているかといった、提供するサービスの質に関わる部分を追求するのが供給サイドということですね。

そして、ここでものを言うのが組織の力です。組織化ができている、つまり社員全員が会社の目指すものを理解していれば、戦略をスムーズに実行し、顧客に高い価値を提供することができます。反対に、もし組織がバラバラであれば、どんなに素晴らしい戦略も机上の空論に終わってしまうでしょう。

継続的に会社を成長させるためには、需要サイドと供給サイドの両面を強化しなければなりません。そのためには、優れた戦略を立てるだけでなく、組織化によって実行力を高めていく必要があるのです。

■バラつく組織をまとめるには

次に、組織化を実現するための具体的な方法について考えてみましょう。

組織化は、自社の存在目的や価値観、目指したい企業風土などを明確にし、それを文書化して社員に示すことから始まります。つまり、経営者の頭の中にある「理想の会社像」を具体的な言葉で書き表したものを、社員の皆さんに共有するということですね。

このときには、売上や店舗数といった数値的な部分だけでなく、「どんな雰囲気の会社にしたいか」「同僚やお客様に対し、どんな思いで向き合ってほしいか」といった、「状態の目標」も言語化することが大切です。また、共有したい価値観や考え方と併せて、皆が気持ちよく働くために守ってほしいルールもしっかりと文章にしてみてください。

「ルールを決める」というと窮屈な印象を受けるかも知れませんが、ルールのないまま目標だけを与えられると、社内は混乱に陥りやすくなってしまいます。私たちの生活が法律や交通ルールといった決まりのもとに成り立っているように、企業においても一定のルールがあるからこそ、調和と自由が生まれるのです。

■本日の結論

ただ「まとまろう」と声をかけても、なかなか組織化は進みません。まずは社長の描くものを具体的な形で共有し、そのうえで「こんな会社を目指すために、このようなルールのもとで一丸となろう」と働きかければ、社員の皆さんの理解も進むのではないでしょうか。

是非、社員の皆さんの意見も募りながら、あなたの目指す組織像を言葉で書き表してみてください。

時間のかかる取り組みかも知れませんが、きっと貴社がより強い組織になるための第一歩となるはずですよ。