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今回のテーマは「承認欲求が強すぎて周りに悪影響を与える部下と、どう向き合うのか」です。
クライアントの方より「営業チームのマネジャーがチームの情報を都合の良いように歪めて報告したり、社内の他の部署を見下したり、張り合うような姿勢を取ったりします」というご相談をいただきました。このマネジャーは「社長に認められるのがやりがい」と言っていて、自分を認めてもらいたいという気持ちから、このような行動をとっているようです。
このマネジャーは、いわゆる承認欲求が強いタイプのようですね。ただ、このご相談にはさまざまな問題が入り組んでいると思います。それらを分解しながら、対処法をお伝えしていきましょう。
「マネジャーの承認欲求が強いこと」にお悩みとのことですが、実はそれよりも緊急を要する重大な問題があります。「チームの情報を都合の良いように歪めて報告する」という部分です。
つまり経営者に正確な情報が上がっておらず、現場の状況が把握できていないということになります。これは大変な問題です。もしかしたら、思いもよらないことが起きている可能性も十分にあります。会社を守るためにも一刻も早く現場の状況を把握しましょう。
そのための方法は至ってシンプルです。その部門のメンバーと1on1を実施して、全員から現状をヒアリングすること。そして会議にも出席して、ヒアリング内容と擦り合わせながら状況確認をすることです。
経営者が現場の状況を正しく把握できない状況は、間違いなく“危ない”です。
なので、こうした事実が発覚した場合にはまず状況把握のために動くことをお勧めします。
その次に対処すべきなのが「社内の他の部署を見下したり、張り合うような姿勢を取ったりする」という部分です。会社は複数人の協働で成り立つものなので、蹴落としたり張り合ったりするのではなく、それぞれ認め合い支え合わなければなりません。
そのためには「社長だけに認められたら良い」という状況を改善する必要があります。組織全体で評価・承認していく仕組みをつくって「社長だけを見ていても評価されない」と感じてもらうのです。
弊社では人事評価に360度評価を含めたり、ハッピーカードで日常的に仲間を称賛しあったりする仕組みを導入しています。さらに年1回の経営計画発表会で、1年間で最も成果を上げた人、成長した人を全員の投票で決定して表彰する制度も設けました。
このように社長以外の承認の場を多くつくっていけば「社長だけに認められたら良い」とはならず、周りとどのような関係を構築すべきかを考えるようになるのではないでしょうか。
今回のご相談は「マネジャーの承認欲求」にお困りとのことでしたが、この問題は一番優先度が低いと思います。何故なら、これはマネジャー自身の問題であって、経営者が直接解決できるものではないからです。
「水飲み場までは連れていけるけれど水を飲ませることは出来ない」と常々申し上げていますが、私たちにできるのは「きっかけづくり」まで。その後どう考え行動するかは、本人次第です。
そのため経営者としては「マネジャー個人」ではなく「組織」という視点を持って、問題を解消する仕組みをつくっていくようにしましょう。
本人の承認欲求が強いこと自体は、経営者が改善できる問題ではありません。水飲み場に連れて行っても、水を飲むかは本人次第。経営者としては組織の仕組みづくりに着目して、水飲み場まで連れて行く体制を整えることが大切です。
マネジャーの承認欲求をどうにかしようとするのではなく、それによって組織にどのような問題が起こっているのか冷静に分析して、問題解決につながる仕組みづくりをしていきましょう。