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今回のテーマは「なぜ、人事評価で人が辞めるのか?」です。
クライアントの方より「コンサルタントに依頼して人事評価制度を作成した結果、社員から反発がおこり、主力スタッフが数名辞めてしまいました。良かれと思って導入したものが裏目に出た感じです。何故なのでしょうか」とご相談をいただきました。
人事評価を導入したところ社員が辞めた、ボイコットした、運用を拒まれたといったご相談は後を絶ちません。それは一体なぜなのか。その理由と、人事評価の考え方についてお伝えしていきます。
人事評価の導入に失敗する会社には、ある共通点があります。それは人事評価の目的を「社員の査定」としてしまっている点です。
例えば社員から「社員全員で社長を評価・査定して給与を決めます」と言われたら、貴方はどう感じるでしょう。なんだか怖いし身構えてしまいませんか?それと同じで、人事評価を給与査定のためとして導入すると、社員の反発や不満を招く火種となってしまいます。
一方で、人事評価制度の導入が上手くいっている企業は、その目的を「人材育成」としています。人材の成長を促し、社員の成長とともに業績も上がり、結果として給与が上がる。この流れをつくり出すことをベースとしているのです。
私がマイケル・E・ガーバー氏の講座を受けた際「経営者であれば、社員が成長の階段を夢中になって駆け上がるゲームをつくれ」と言われました。この言葉通り、上手くいっている会社の人事評価はキャリアパスが明確になっています。
キャリアパスとは「何をどう頑張れば評価されるのか、給与が上がるのか」「何をクリアすればキャリアの階段を登れるのか」を明示したものです。キャリアの階段がハッキリ見えていれば、自分の意思でその階段を登ることができます。
このように人事評価と教育とキャリアアップを連動させていけば、ただ一方的に査定されるのではなく、自分の成長を後押ししてくれていると感じてもらえるではないでしょうか。
そしてもうひとつ、理解しておかなければならないことがあります。それは「給与を貰うこと」が、働くうえで重要な目的のひとつであるということです。
もちろん、給与だけがすべてではないでしょう。しかし給与を貰って生活することは、労働における大切な動機です。それを理解したうえで、利益を社員に還元する仕組みを見える化することが重要になります。
人事評価制度を活用して社員の能力を高め、業績を高め、社員の働く目的を実現しようとする。この経営者の「在り方」は、社員からも見られています。制度を整えるのも大切ですが、最も重要なのがこの「在り方」であることは、肝に銘じておきましょう。
人事評価の導入が上手くいかないと感じた場合は、そもそも何のために人事評価を導入するのか、目的を再確認してみましょう。もし給与や賞与の査定に導入しているのであれば、反発や不満の元になりかねません。
経営者として考えなければならないのは、社員の成長です。社員が成長すれば組織も成長して、業績が上がり、それを社員へと還元する。この循環を常に意識して、人事評価制度や社員と向き合ってみてはいかがでしょうか。