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ダメだと分かっていても怒ってしまう…経営者の感情コントロール法

今回のテーマは、「ダメだと分かっていても怒ってしまう…経営者の感情コントロール法」です。

先日、経営者の方から「自分の感情をコントロールできず、悩んでいます」とご相談をいただきました。「社員を怒ってはいけないと思いつつ、つい怒りに任せてしまうことも。このままではダメだと分かっています。どうやって感情をコントロールすればよいでしょうか」とのことです。

感情をコントロールするのは、本当に難しいですね。しかし、怒りに任せて社員につらく当たる行為には、大きなリスクが伴うのも事実です。私自身も直面した問題ですが、改善できるまでにはかなりの時間を要しました。

今回は、ダメだと分かっていることを繰り返してしまう理由や、感情をコントロールするために役立つ考え方についてお伝えしていきます。

■分かっているのに、繰り返してしまう理由

今回のご相談のように、「ダメだと自覚しているのに感情的になってしまう」ケースは少なくありません。なぜ、分かっているのに繰り返してしまうのでしょうか。そこには、過去の成功体験が関係している可能性があります。

たとえば、「怒鳴ったら、言うことを聞かない社員が従順になった」「感情的に詰め寄ったら、無理を通せた」といった経験はありませんか？ このような成功体験を持っていると、「怒れば上手くいく、思い通りになる」という考えが刷り込まれ、間違っていると自覚しながらも成功体験にすがってしまう＝感情任せに怒る行為を繰り返してしまうのです。

しかし、「怒れば思い通りになる」という成功体験は、本来得てはいけないものであることを忘れてはいけません。このような誤った成功体験にすがり続けていると、いつかはその代償が自分に返ってきてしまうのです。

■感情をコントロールできなかった私の失敗

私自身も、かつては感情をコントロールすることができず、社員に厳しく当たることがしばしばありました。その結果、経営者である私に返ってきたのは、大量辞職による組織の崩壊だったのです。

実は、組織崩壊が起こる少し前から、社員の心が会社から離れていることには薄々気が付いていました。しかし、「高いレベルの仕事をしなければ会社は発展しないし、会社が発展しなければ社員の幸せもない」「厳しくするのは、社員をかわいがっているからこそ」と考えていた私は、態度を改めることができなかったのです。

やがて組織崩壊が起こったとき、私は「自分を変えなければ、理想の会社は作れない」と痛感し、変わることを決意しました。そして、自分を変えるために行動する中で、「システム思考」という考え方に出会ったのです。

■「人材思考」から、「システム思考」へ

システム思考とは、ものごとが上手くいったり、失敗したりする原因を「システム」に見ることです。これに対し、成否の原因を「人」に見ることを「人材思考」といいます。

多くの経営者は人材思考を持っているため、ミスやトラブルが生じると「社員の能力が低いからだ」と考え、その社員を叱責することで問題を解決しようとしてしまいがちです。一方、システム思考の場合は原因を「仕組み」に見るため、ミスやトラブルの際も個人を責めるのではなく、システムを改善することで解決を図ります。

常にシステム思考を心がけていれば、何かトラブルがあった時にも「社員が悪いのではなく、仕組みに欠陥があったから失敗したのだ」と捉えられるため、腹を立てることが減っていきます。さらに、システム思考に基づいて仕組みを改善していけば、おのずと「誰がやっても上手くいく」土壌が作られ、会社の成長もスムーズになるでしょう。

実際に、私も「システム思考」を心がけるようになって以降、人に対して腹を立てることがあまりなくなりました。成功も失敗も、そうなるべくして起きた結果であり、悪い結果を招く仕組みを改善していくことこそが成長への近道なのだと実感できたからです。

■本日の結論

感情のコントロールは、一朝一夕では実現できない難しい課題です。私自身も、変わろうと覚悟してから実際の変化を感じられるまでには時間を要しましたし、今でも「コントロールできている」と言い切れるほどの自信はありません。

しかし、怒りで人を動かし続けていれば、いつかはその代償が自分に跳ね返り、つらい結果を生んでしまいます。「自分を変えよう」と覚悟を決め、システム思考を繰り返し自らに言い聞かせていけば、時間はかかっても必ずより良い未来が拓けるでしょう。

社員のため、会社の成長のため、そして何よりもご自身の人生のために。ぜひしっかりと覚悟を決めて、怒りのコントロールに挑戦していただけたらと思います。