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今回のテーマは「“●●が無ければよい人”は危険のサイン?」です。先日、クライアントから「凄く仕事ができるスタッフがいます。ただ、性格がキツく、その人の振る舞いで傷ついている社員も多いです。へそを曲げられても困るし強く言えません。キツい部分だけ直してくれたら最高なのですが、安東さんならどうしますか?」というご相談をいただきました。
このような話は、色々な経営者からよく聞きます。「●●が無ければ最高」と皆さんが口々に言うのですが、今回のブログを読み、果たしてそれは本当に“最高”なのだろうか、と考えていただけたらと思います。一緒に深掘りしていきましょう。
「●●さえ無ければよい人」の存在は一見、些細なことのように思いますが、実際は「自分だけでなく周りの生産性を下げている」という目に見えない大きな悪影響を及ぼしています。
また、会社の雰囲気が悪いと、当然ですが全体の士気も下がるものです。これらのことを考えると、私は「●●が無ければ」で済む話ではないと考えています。
会社経営をする上で、マネジメントは大きく3つに分けて考えることができます。
①事業のマネジメント
②組織のマネジメント
③人材のマネジメント
「●●さえ無ければよい人」は、事業のマネジメントには役立っているけれど、組織と人材のマネジメントには悪影響を及ぼしている存在といえます。つまり、「●●さえ無ければ最高」という考え方は、経営者にとって“危険な考え方”だと理解しておかなくてはなりません。
私たち経営者は、目の前の事象やトラブルに判断の軸を置くのではなく、一旦視座を上げて「自分はどんな会社をつくりたかったのか?」と原点に立ち戻ってみることが大切です。
社内のトラブルに、日々心を削るような会社にしたかったのか、それとも理念やビジョンに基づいて同じ目的に向かって皆で一丸となって、頑張れるような会社をつくりたかったのか。自分のつくりたい会社像に向けて3年後・5年後をイメージしたときに、今この問題にどう対処するべきなのか、自ずと答えが見えてくるのではないでしょうか。
これからの中小企業は、戦略での差別化も商品での差別化も、非常に難しくなってきます。では何によって差別化するのかというと、“理念に基づいた「企業文化」での差別化”をするのです。
例えば、TOYOTAとNISSANの最大の違いは「改善文化」という企業文化といえます。会社が一丸となって高みを目指し、皆がよりお客様のために頑張るような文化をつくっていく。お客様に感謝や感動を与えられるような企業文化をつくっていく。このような思考と行動が、経営者にとっては非常に重要といえるでしょう。
私たちは経営者として、社内において、人間関係のいざこざや、わがままな不愉快をまき散らすような人材を減らしていくマネジメントをしていかなくてはなりません。
そのためには、「覚悟」が必要であると私は考えています。
もし問題のある社員にアプローチすると決めたなら、他の社員から見えないところで膝をつき合わせて徹底的に話し合ってみましょう。周りに与えている影響について、しっかり伝えてみることです。中には、無意識で問題行動をしてしまっている場合もあります。わかりあえるまで、とにかくとことん話し合うのです。
このときに知っておいてほしいのは、「社員は経営者の言動をかなり見ている」ということです。経営者が毅然とした態度で接し、問題行動を起こしていた人がやめていったとしたら、「ああ、この経営者は本気なのだ」と周りの社員に伝わります。
その逆も然りで、経営者が問題のある社員を「仕事ができるから多少のことは仕方ない」と放置したとしたら、周りの社員は「結局、あの経営者は売上が一番なのだ」と冷ややかな目で見るようになるでしょう。
もしもあなたが社員から信頼を得て企業文化を守り、甘えではなく本当の意味で職場の良い環境づくりに真剣になったとしたならば、まるで恩返しのように、社員も仕事をがんばってくれるものです。
「●●さえ無ければ良い人」という発想は、危険なサインということを理解し、覚悟を持って組織づくりに取り組んでみてはいかがでしょうか。
きっと、社内の雰囲気が少しずつ変わり、社員の笑顔が溢れる職場に近づいていきますよ。