YouTube
今回のテーマは「教育が必要ない即戦力は幻想?」です。
クライアントの方より「組織を盛り上げるためにも、教育の必要が無い即戦力が欲しいです。何かそういった方法はありますか」というご相談をいただきました。新しい人を採用して教育やフォローなどに時間を割いたにも拘わらず離職に至ってしまい、徒労感を感じていらっしゃるそうです。
人を迎え入れるのは本当に大変なことですから、そのお気持ちはよく分かります。果たして、教育が必要ない即戦力を雇う方法はあるのでしょうか。
最初から厳しい現実を突きつけてしまいますが、残念ながら教育が要らない人材はいません。新卒や未経験者であれば、成果を出すためのスキルや知識を身につける教育が必要なのは言うまでもないでしょう。しかし経験豊富な中途採用者であったとしても、カルチャーフィットのための教育は必ず必要になるのです。
たとえ前職の会社が似たようなカルチャーを持っていたとしても、完全に一致することは有り得ません。そして僅かなズレだったとしても、放置しておくと自社の方向性や目的から少しずつ外れていく可能性があります。
そのため、教育が一切必要ないスーパーマンはいません。そのような幻想を抱くよりも、カルチャーにフィットしてもらったり成果を出したりするための教育の仕組みをつくっていく方が、結果的に組織のためになるのではないでしょうか。
しかし懸命に仕組みづくりをして教育体制を整えたのに離職されてしまうのは、とても辛いですよね。ですから今回のご相談のように、徒労感を感じてしまうお気持ちは痛いほど理解できます。
ただ「もう辛い思いはしたくない」と採用や教育に目を背けてしまうのは、非常にもったいないことです。その経験を糧にして、一体どこに問題があったのかを分析しましょう。そもそも採用時点で問題があったのか、それとも入社後に馴染めなかったり会社に不満があったりしたのか。こういったことを冷静に精査することで、貴方の会社の採用と教育をより強固なものにするためのヒントが見つかるはずです。
採用や教育は、ワークアウトと同じ。何もせず楽をしていても、体を鍛えることはできません。辛く苦しい思いをしながら試行錯誤を積み重ねていくことで、強い会社、強い組織ができあがっていくのです。
教育が一切必要ないスーパーマンのような人材を求めるのは、少々無謀で現実味のないことです。仮にそのような人材がいたとしても、採用や教育から目を背けてしまっては、強い組織をつくりあげるのは難しいでしょう。採用、教育が上手くいかずに辛いというお気持ちは、とてもよく分かります。しかしそこから目を背けることなくワークアウトを継続していけるかどうかが、これからの時代を生き抜くカギになるのではないでしょうか。