大企業が軒並みDX推進に舵を切っている今、中小企業の業務改革を支援するためのサービスも続々と登場しています。
中でも経理・総務などのバックオフィス業務を代行する機能については、以前からBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスとしてさまざまな手段が存在していました。
バックオフィス業務は企業の経営を支える重要なメニューですが、細かな事務作業そのものは経営者の本来の業務とは言えません。
経営者が本来向き合うべきなのは、自社の戦略を明確にし、顧客と社員のために最良な意思決定をすること。
しかし中小企業では、いまだに「社長と奥さんで経理作業をやり続けている」というケースも珍しくないように思います。
私たちが開催する経営塾では、ご参加いただいた経営者が休憩時間に振り込み作業に追われている……といった場面を見かけることも。
なぜ中小企業経営者はこうした業務を手放せず、いつまでも縛られてしまうのでしょうか。今回はその心理について考えます。
経理業務を例に取って考えてみましょう。
経営者同士の会話の中でよく聞かれるのは「社員には細かな数字を見せたくない」といった声です。
これには私も共感します。と言っても、決して自社の業績を見せたくないわけではありません。「給料」を見せたくないと感じるのです。
ブレインマークスでは経理項目を全社員にフルオープンにしていますが、社員それぞれの給料の詳細だけは公開していません。他人の給料を知ると、ネガティブな感情を抱いてしまう社員がいるかもしれないからです。
特定の社員に経理作業を任せるとなれば、その担当者は他の社員の給料をすべて知ることになります。誰かを昇給させた際にも、当然ながらすぐに分かります。
こうなると、経営者としては不自由さを感じることが否めません。だから私は、創業して間もない頃から経理業務をすべて外注しているのです。
自分で経理作業をすべて行なえば経理の不自由を感じることはない。しかし自分自身のリソースを経理作業に奪われたくない。
そう考えていくと、選択肢は信頼できる外注先を探すことしかありませんでした。
そこで私は、付き合いのある会計事務所から派遣スタッフに来てもらうことを検討しました。数社の営業を受けて依頼先を決定。先方の担当者はちょくちょく変わりますが、経理業務の段取りについては向こう側で引き継ぎを進めてくれるので、まったく問題ありませんでした。
そして最終的に定着したスタッフの方とは、10年来にわたるお付き合いを続けています。週1回来社してもらい、経理作業をすべてお任せして、月々のコストは約15万円程度です。
社員に数字を共有することで生じる不自由さがなくなり、私自身が経理作業に追われることもない。そう考えればこのコストはとても安いと感じませんか?
さらに私は、経理作業を信頼できる外部のプロフェッショナルに任せることで、当初は想定していなかった効果を感じることもできたのです。次回のブログでは、その詳細もお伝えしたいと思います。
(安東邦彦/第3回に続きます)