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今回のテーマは「フィードバック恐怖症の部下とは」です。
クライアントの方より「部下から『フィードバックは怖い。出来ればほしくない』と言われました。時に厳しい言葉も伝えましたが、部下を思うからこそなのに……」というご相談をいただきました。
部下の方は、フィードバック恐怖症に陥ってしまったようですね。こういったフィードバックの悩みは、どの会社にもよくあることなのではないでしょうか。一体何故このようなことが起きてしまうのか、原因と対策についてお伝えしていきます。
部下がフィードバック恐怖症になってしまった原因は、上司と部下の間で認識のズレが生じてしまったからかもしれません。
好き好んで人にあれこれと指摘をする人など、ほとんどいないはずです。相手にとって耳の痛いことを伝えなければならないのは、心が痛むもの。だからこそ葛藤を抱えてしまい、相手を想うが故に、最大限の心配りをしてフィードバックを行っているという人が大半だと思います。
しかしその心配りこそが、双方の認識のズレを生んでいる原因となっている可能性があるのです。
一体何故、心配りが認識のズレを生んでしまうのか。それはフィードバックの内容が、個人の価値観や感情として相手に伝わっているためです。
例えば「そのやり方では上手くいかないよ」「そのままでは、お客様からの信頼は得られないよ」といった伝え方をしていないでしょうか。言い方が優しかったとしても、このように個人の価値観が入った内容だと、部下は「自分を否定された」「価値観を押し付けられた」と感じてしまいます。
そしてこれが続くことで、フィードバックを「個人的な批判」として恐怖心を抱いてしまうようになるのです。
伝える言葉に自分の価値観や感情が乗ってしまうのは、フィードバックを「指導」と捉えているからかもしれません。だからこそ事実のみを伝えるのではなく、ついつい主観にもとづいたアドバイスを付け加えてしまうのです。
しかし、フィードバックとはそもそも「目標達成のために行われた各人の行動による結果を、情報として伝えること」です。伝えるのはあくまでも「情報」で、価値観や感情ではありません。情報を伝えて自分で気が付いてもらうことで、成長につなげるのが目的なのです。
そこで、フィードバックのイメージを「指導」でなはく「鏡」のようなものだと捉えてみてはいかがでしょうか。鏡の中の自分を見て髪が乱れていたり顔が汚れていたりすれば、誰でも自ら整えると思います。フィードバックも同じで、ありのままの事実を鏡のように見てもらうことが大切です。
例えばミスが起きた時「ミスばかりしていたら、誰も仕事を振らなくなるぞ」ではなく、「この業務でミスをして、リカバリーの時間が発生しましたね。どうすればミスを無くせると思いますか?」というように、相手の気付きを引き出すような問いかけをしてみましょう。そうすれば自己否定だと感じさせることなく、部下を成長へと導けるようになるはずです。
フィードバックとは、感情ではなく情報を伝えるためのものです。そして情報を伝えることで気付きを与えて、成長を促すのが目的になります。成長を期待するが故にアドバイスをしてしまいたくなる気持ちも分かりますが、そこはグッと堪えて、自分で気付けるように導いてあげましょう。
フィードバックは「指導」ではなく「鏡」である。このようにイメージをするだけでも、フィードバックの中身は変わってくるはずですよ。