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今回は書籍「経営者の条件―ドラッガー名著集①」を中小企業の経営に活かす方法についてご紹介します。
20世紀から21世紀にかけて、経済界に最も影響力のあった経営思想家と言われるピーター・ファーディナンド・ドラッカー。本書ではドラッカーによる「成果をあげるセルフマネジメント術」を学ぶことができます。その内容を、ご紹介していきましょう。
本書には、成果をあげる人になるための「2つの前提」が記してあります。その前提とは、次の通りです。
前提①:経営者の仕事は成果をあげることである
前提②:成果をあげる能力は修得できる
経営者にとっての使命とは、成果をあげること。そのために他の社員よりも高い報酬を受けているわけですから、当然のことと言えるでしょう。そしてそのために必要な能力は、自らの努力次第で習得することができるといいます。生まれ持ったカリスマ性や経営能力がなくても、経営者として成果をあげることは可能というわけです。
それでは、成果をあげるためには具体的にどのようなことを実行していけばいいのでしょうか。ドラッカーは成果をあげるために必要な習慣として、次の8つを上げています。
習慣①:優先度の高い1つのことに集中する
⇒成果をあげるには手を広げすぎず、優先順位をつけて一つひとつこなしていく必要がある。(エッセンシャル思考的発想)
習慣②:組織のことを考える
⇒従業員や役員、株主のために良いことではなく「組織全体にとっていいことは何か」を考える。
習慣③:アクションプランを考える
⇒成り行き任せにならないよう、アクションプランを策定して修正を繰り返しながら実行していく。アクションプランは「倫理的に正しいか」「組織内での理解を得られるか」「組織のミッションや価値観、方針に合っているか」というポイントを押さえて策定する。
習慣④:アクションプランの意思決定を行う
⇒アクションプランの意思決定を行う上で「実行の責任者」「実行の日程」「影響を受ける人への周知」「影響は受けないが知っておくべき人への連絡」といったことを決めておく。
習慣⑤:コミュニケーションを行う
⇒アクションプランを実行する上で必要な人たちとコミュニケーションをとり、情報共有していく。
習慣⑥:チャンスに焦点を合わせる
⇒自社が抱えている問題にばかり目を向けるのではなく、これからの成功を掴み取るチャンスに焦点を合わせる。
習慣⑦:会議の生産性を上げる
⇒事前に会議の目的を共有しておく、会議内での発言は会議の目的に必要なものだけに絞る、目的を達したら直ちに閉会するといった自制が必要。
習慣⑧:「私は」ではなく「我々は」で考える
⇒「私」という経営者個人ではなく「我々」という言葉を使うことで、全員で成果をあげていく意識を持つ。
これらの8つの習慣とは、即ち「経営者の限られた時間をどのように使うのか」というタイムマネジメント術でもあります。自社を成果があがる組織にするためには、経営者自身がいかに効率的に時間を使うのかが求められているのです。
経営者が使える時間は限られています。その時間をどこにどう使うのかが、成果をあげる経営者とそうでない経営者の分かれ目と言えそうです。
習慣化とは、自動化。今回ご紹介した8つのことを習慣として日常に組み込んでいけば、自然と成果があがる経営者になっていくはずです。すべては自分の研鑽次第という厳しい内容ではありますが、ぜひ本書を手に取って、経営者として押さえておきたいポイントを確認してみてください。