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今回は書籍「人間性尊重型大家族主義経営」を中小企業の経営に活かす方法をお伝えしていきます。
著者は「日本経営品質賞」、「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」、「ホワイト企業大賞」など数多くの経営賞を受賞している西精工株式会社の西泰宏社長と、ホロトロピック・ネットワーク代表で工学博士の天外伺朗氏です。
本書は、日本の企業経営の歴史を読み解く鍵となる「家父長型大家族主義経営」と「人間性尊重型大家族主義経営」の違いを明らかにすることで、今後会社をどのように発展させるべきかを説いています。
この内容を中小企業の経営にどのように取り入れたらいいのか、ご紹介していきましょう。
そもそも「大家族主義経営」とは、社員を家族のように信頼して大切にする経営のことです。同じ「大家族主義経営」ですが、「家父長型大家族主義経営」と「人間性尊重型大家族主義経営」にはどのような違いがあるのか、確認してみましょう。
家父長型大家族主義経営:1960年代の日本における一般的な経営スタイル。家族(社員)は家長(経営者)を敬い、奉り、家長が機嫌よく過ごせることが第一。役割や上下関係が明確な人間組織。
人間性尊重型大家族主義経営:重苦しくなく、軽やかでフラットな社風をつくる経営スタイル。家長第一ではなく、社員ひとりひとりを尊重する「ホワイト企業」とも言える組織。
家父長型は、まさに日本の家族の形でした。昔は怖い父親が一家の大黒柱で、家族は父親を立てて生活していましたよね。それが当たり前だったため、会社経営も自然とその形になったのでしょう。
しかしアメリカの価値観が入ってくるなどして価値観の多様化が進むと、次第に家父長型の経営では上手くいかなくなってきます。そこで登場したのが、人間性尊重型の大家族主義経営なのです。
西精工株式会社は、この人間性尊重型大家族主義経営を早くから取り入れて、非常に良い会社づくりに取り組まれてきた会社になります。
西精工がどのような取り組みをしているのか、具体的に見ていきましょう。
西精工には「感謝を伝えることは、長期的に会社の生産性を高める」として「ありがとうカード」を書く習慣があるそうです。例えば仕事で協力してくれたなどで感謝の気持ちを伝えたい人がいたら、それをカードに書いて総務宛の投書箱に入れておきます。そして、月一回渡す給与明細袋にまとめて同封するのです。
このように感謝を伝えられると、社員たちは会社から認められている、ここに居場所があると感じるでしょう。そして自分の大切な居場所であるこの組織のために尽力しようと集中して業務に励み、生産性が上がるというわけです。
西精工が実践しているように、これからは人間性尊重型の組織になっていかなければ企業として生き残っていけないと本書では説いています。そして人間性尊重型の組織とは、オールトップ型の経営スタイルなのです。
既にご存知のように、経営スタイルには次のようなものがあります。
管理型経営:社員の仕事を経営者が管理する経営スタイル(トップダウン)
フロー型経営:経営者が仕事を全て現場に任せる経営スタイル(ボトムアップ)
ティール型経営:社員ひとりひとりがリーダーシップを持っている経営スタイル(オールトップ)
社員ひとりひとりが「自分はこの会社の一員である」「自分がこの会社をつくっている」という意識を持っていると、社内のあらゆる出来事を「自分事」として捉え、自主性を持って会社を成長させようとします。それが会社や周りへの愛着になり、人間性尊重型の組織へとつながっていくのです。
生活スタイルや価値観が多様化する現代において「人間性尊重型大家族主義経営」は非常に重要な考え方です。社員ひとりひとりを尊重して、家族のようにあたたかい絆で結ばれることができたら、企業の成長につながるのではないでしょうか。
皆さんもぜひ一度、この書籍や西精工株式会社のホームページやブログをご覧になってみてください。自社の経営に活かせるヒントがたくさんあるはずですよ。