YouTube
今回は書籍「イシューからはじめよ」から、中小企業が生産性を高める方法についてご紹介します。
著者はコンサルタントであり、科学者でもある安宅和人氏。彼はマッキンゼー・アンド・カンパニーに勤務した後、イェール大学・脳神経科学プログラムに入学。わずか3年9ヶ月で学位を取得しました。現在はヤフー株式会社で事業戦略課題・大型提携案件の推進などを担当しています。
本書は、「現代においてどれだけ圧倒的に高い生産性を上げるか」について書かれています。私たち中小企業が、社員ひとりひとりの生産性を高めるにはどうすれば良いのか、この本を基に解説していきましょう。
まずは「生産性」と「イシュー」の意味について、考えてみましょう。
「生産性」とは単純にいうと、「投下した時間分の成果」です。短い時間でより高い成果を上げる人の方が、会社にとっても社会にとっても、お客様にとっても価値が高いですよね。
「イシュー」は「問題の根本的な本質」と考えていただければと思います。
たとえば今、皆さんの目の前に、解決しなければならない課題があるとしましょう。
生産性の低い人は数日途方に暮れ、ひとまず役立ちそうな情報や資料をかき集めるものの解決できず、再び途方に暮れ、結果的に何も生み出すことができません。
一方で、圧倒的に生産性の高い人は、「イシュー」から始めます。
つまり何よりもまず、目の前にある課題の「根本的な原因」は何なのか、徹底的に考えるのです。次にそのイシューが合っているのか検証し、物事を細かく分解します。どうすれば解決できるのかストーリーを描き、どういう段取りでやっていくのか、計画に落とし込みます。最後に、その計画に基づいて、なぜ解決できるのかを理論的にまとめて、周りに伝えるのです。
このプロセスこそが、本書のタイトルにある「イシューからはじめよ」の真髄といえるでしょう。
ここからは、この考え方を中小企業に活かす方法について、私たちの実話を交えてご紹介します。
以前の私たちは、なぜか新人教育がうまくいきませんでした。偉そうな態度をとったり、上からものをいうような社員が出てきてしまう…。これは教育の重要性はわかってはいたものの、私たちにとっての教育のイシューを特定しないまま進めた結果、起きた失敗でした。
そこでブレインマークスの「教育」を分解してみると、「考え方の教育」「知識の教育」「技能の教育とトレーニング」の3つに分けることができました。すると「考え方の教育」がすっぽりと抜けていると気づいたのです。
その後、入社から半年間、弊社のコンサルティングの考え方・立ち位置を徹底的に教えてみたところ、偉ぶるような社員は生まれなくなり、会社全体の生産性がぐっと上がりました。
この問題は、弊社の教育のイシューが「考え方を整理し、それを社員に教えていく」と特定できたことで、解決に向かっていったといえるでしょう。もし生産性の低い道に迷い込む前にイシューを特定していたら、もっと早い段階で生産性を上げられていたかもしれません。
きっと皆さんの会社にも、様々な経営課題があると思います。
良い人材が採用できない、集客がうまくいかない・・・。どんな物事であれ解決するためには、その問題を切り分けて様々なイシューの可能性を検証し、最も高いイシューはどれなのかを導き出していかねばなりません。イシューの特定をしない限り、課題を効率的に解決することはできず、生産性が上がることはないからです。
まずはこの本を読み、ご自身の会社が抱える課題のイシューが何なのか、改めて考えてみてはいかがでしょうか。
きっと、会社全体の生産性が上がり、成長するきっかけになるはずですよ。